伝統は時代に合わせて形を変えていくものだが、京都市の「龍岸寺」で催された「超十夜法要2023」には、昔の人が見たら腰を抜かすような光景が広がっていた。
仏師、三浦耀山さん(@biwazo)は、
「木彫阿弥陀如来像とドローン仏による阿弥陀来迎。伝統技法と先端技術が融合した瞬間です」
と、Xに動画を投稿。中央には三浦さんが彫刻した阿弥陀如来像が安置され、8基のドローン仏が編隊を成して空中を飛ぶのである。
動画を見た人からは、
「お経とドローンの羽根の音が不思議と心地よいですね」
「ドローンで浮いた仏様は凄くいいと思います。がしかし何故メイドがいるの???」
「何も言わなきゃ神の力で浮いてると思う人いそう」
などたくさんの反響があり、「いいね」は4.2万件にもなりました。
三浦さんたちはなぜこのようなイベントを実施したのか。話を聞いた。
ーー「阿弥陀来迎」の意味を教えてください。
「阿弥陀来が諸菩薩とともに雲に乗り、極楽浄土に迎えに来てくださるということで、幸せな来世を願って昔の人たちは仏画に描かれた情景を拝み、心を込めて『南無阿弥陀仏』をお経を唱えました。仏画に描かれた情景を3D空間で表現したのがドローン仏による阿弥陀来迎です」
ーード派手な演出ですね。
「阿弥陀様を迎えるにあたり、せっかくなら華やかにお迎えしましょうということで、このような演出にしました。文明の発達に伴い、かつてはローソクの明かりで照らしていたのが蛍光灯になり、そしていまはLEDで調光や調色もできるようになりました。でも、今よりも暗い本堂で、ローソクの明かりだけだった時代が地味だったかというとそうでもなくて、きっとローソクの明かりを大切な光として受け止めて、真摯にお経と向き合っていたのだと思います」
ーー信徒の方の評判はいかがですか。
「『お寺離れ』みたいな言葉が飛び交う時代ですので、そんな中でも多くの人たちが龍岸寺に集まり、活気に満ちているのは嬉しいことだと前向きにとらえてくださっています」