ADHD主婦の日々の困りごと…生きやすくなるためには家族や友人の支えが必要「お互いを否定せずに認め合う道を」

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「トイレに行きたいと思っても立ち上がれないので常に尿意と闘っている」

「TVのチャンネル変えたいと思っても、リモコンのボタンを押すまでに4時間かかる」

発達障害の一種であるADHDの診断を受けているなちゅ。さん(@itacchiku)が、日々の「実行機能」の観点からご自身の日常生活の困りごとについて、X(旧Twitter)に紹介しました。

前回の記事では、当事者の方々が実行機能の面で起こる日常生活の困難、そしてその生きづらさが周囲になかなか理解してもらえない、という現実についてお伝えしました。

では、当事者の方々が、周囲との関わりのなかでより生きやすくなるには、どうすれば良いのでしょうか。なちゅ。さんは、その点についてもヒントになる投稿をされています。

互いに異なる特性をもつパートナーと支え合う

その一つは、家族にまつわる話。実行機能の問題を抱えるなちゅ。さんを、いつも旦那さんが助けてくれるのだといいます。

ADHDを抱えるなちゅ。さんに対し、旦那さんはASD(自閉症スペクトラム)という発達障害の傾向があるそうです。

ASDの特徴として、「決まった行動パターンをとりがち」というものがありますが、旦那さんは仕事中、きっちり2時間おきにトイレと水分補給をするのだそう。その際に、動けずにソファで倒れているなちゅ。さんの手をとって、立たせてくれるのだといいます。なちゅ。さんは、それでトイレに行くことができるのだとか。

「いつもありがとう旦那…!」

と、感謝のコメントをされるなちゅ。さん。

一方で、自分が相手をサポートすることもあるといいます。

『ファッションが苦手』な旦那を私がサポートしています。旦那は、色の組み合わせや衣類の形の組み合わせの感覚が全くピンとこないそうで、服や靴を買おうと思っても混乱して疲れすぎてしまうのです。逆に、私は理想の色や形の組み合わせを直感的に捉えることがわりと得意です」(なちゅ。さん)

「夫の着るものを妻である私が買っている」ということに対して、否定的な意見を言う人もいたそう。ですが、「これが私たち夫婦にとって、お互いの苦手を補うサポートの形だと思っています」となちゅ。さんは話します。

夫婦ともに発達障害の傾向がありながら、互いをカバーし合うことができている――とても素敵なご関係ですね。

発達障害を抱えている方は、家族にその特性や困りごとを理解してもらい、助けてもらうことで、ぐんと生活がやりやすくなるでしょう。

家族とは支え合うもの。特性があってもなくても、それは共通していえますね。

理解できなくても違いを認め合える関係を

なちゅ。さんの今回の投稿には、リプ欄のコメントや引用ポストを通じて、実にさまざまな反応がありました。

「めちゃくちゃわかる」という共感の声もある反面、「理解ができない」という声、「もし仕事でも同じ感じだと就職が難しいよね...」、「さすがに怠けてるだけだよね...としか思えない」というような辛辣な意見もあり、人によって感想は分かれています。

周りの人たちにサポートを求めるのは、発達障害の特性のある方が世間・社会で生きやすくなるために必要なことです。しかしながら、そもそも本人の困りごとについて、周囲になかなか関心をもってもらえない・分かってもらえないという現実が、大きな問題として横たわります。

なちゅ。さんは、そのような世間のあり方に関しても、希望のあるコメントをくださいました。

――発達障害の特性や困りごとについて、理解できないという方も多いのが現状ですが。

なちゅ。さん:(投稿にあるように)私の友人たちも「感覚がわからない」と言いました。ただ、それは決して私への否定ではなく「私たちは同じ感覚を持っていない」という事実確認でしかありません。よき友人であるために、お互いの感覚の違いを知ろうとしてくれるのが私の友人たちです。それはとても心地のよい関係です。

――分からなくても認め合う姿勢が大切ということですね。また、リプ欄でも「理解できない」という声は多くありましたが、どのように感じられましたか?

なちゅ。さん:「わからないけど、そういう人もいるんだね。覚えておきたい」というコメントされる人もいて、嬉しく思いました。私たちはそれぞれ同じではありません。でも、お互いを否定せずに生きる道はあるのだと思います。

日常生活・社会生活で困難を抱えやすいのに、なかなかそのことが理解されにくい発達障害の特性。しかし、まずは当事者・周囲の方々ともにそれぞれの違いを認め合うことが、互いに生きやすくなる社会をつくるための第一歩となるのかもしれません。

  ◇  ◇

発達障害に関する投稿を数多く行っているなちゅ。さん。

以前にも、まいどなニュースでは「雨の日に窓全開で部屋が水浸しに…!? ASDの中3娘を育てる母のツイートに反響 いちばん身近な支援者として娘に寄り添う思いとは」という記事で、なちゅ。さんにお話をうかがっています。

■なちゅ。さんのX(旧Twitter)はこちら
 →https://twitter.com/itacchiku

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