世界有数のヒグマの生息地といわれる世界自然遺産「知床国立公園」(北海道)は10月13日から、利用者に対し、ヒグマへの距離30メートル未満の著しい接近や、距離50メートル未満のつきまといを禁止しました。職員の注意に従わない場合には、自然公園法違反となり、30万円以下の罰金が科される可能性があります。国立公園内で具体的な数値基準を設けたのは全国初。
ネット上では「あきれる」「猛獣って知らないの?」
環境省などではこれまでも、同公園内でのヒグマへの餌付けを禁じた上、接近やつきまといへの注意喚起を続けてきましたが、ヒグマに過度な接近をする観光客や写真愛好家らは後を絶たず、注意に従わない人も少なくなかったといいます。
今回設定されたヒグマに関する自然公園法第37条第1項第3号の具体的な数値基準は、「著しい接近:ヒグマとの離隔距離が30メートル未満となるまで接近すること」「つきまとい:ヒグマとの離隔距離を50メートル未満に保ち、つきまとうこと」とし、「環境省職員の中止指示に従わず、これらの行為をやめない場合には自然公園法違反となり、30万円以下の罰金が科される場合があります」(環境省釧路自然環境事務所)。
環境省によると、ヒグマは本来、人を警戒し近づこうとはしない生き物です。しかし、観光客らが餌付けや接近をくり返した結果、人慣れした「問題グマ」へと変わってしまった個体も。同公園内でも人に対し威嚇行動をしたり、利用者のリュックサックを物色したりすることも。また、公園内の道路では車が留まることによる「クマ渋滞」がたびたび発生。2022年8月には、ヒグマが停止した乗用車を足で揺するトラブルも起こりました。これらの結果、遊歩道が閉鎖されるなど、公園の利用にも支障をきたしています。
ネット上では、具体的な数値基準が設けられたことに対し、「ヒグマに近づこうとする観光客がいることに驚き」「そんなに近づく人いたの?」「猛獣って知らないのかな」「あきれます」「命知らずな人」「信じられない」「本当に意味がわからん」などの声が上がっています。