ミーちゃん、どうしてるかな
ミーちゃん(3歳・メス)は、川沿いの土手で暮らしている野良猫だった。当時大阪府に住んでいた原田さんは、愛犬の柴犬を散歩させる時、ミーちゃんを見かけることがあった。
「ミーは、いつもひとりぼっちでした。この辺りは野良猫が多く、数匹固まって過ごしていることが多いのですが、ミーちゃんはいつも1匹でした。時々大きな猫に追いかけられているところを何度も見かけました。毎日のように夕方会うようになり、声をかけているとだんだん慣れてきて、スリスリしてくれるようになりました」
夕方の散歩に出ると、いつのまにか後ろをついてきたりして、ミーちゃんの方から原田さんに会いにきているような感じもした。
「うちには犬がいて、猫を飼うことは無理だと当たり前のように思っていました。でも、散歩中にミーちゃんに会わない日は、『ミーちゃん、どーしたのかな』と心配するようになり、雨が降ると『ミーちゃんどうしてるかな、どこで雨宿りしてるのかな』と、いつの間にかミーちゃんのことばかり考えていました。」
「ミーちゃんを保護しよう」という思いが強くなってきた原田さん。犬がいてもケージにミーちゃんを入れておけば大丈夫。猫を飼うことに反対している夫には何て言おうか。いろんなことが頭を巡った。
この子を連れて帰るのは私しかいない
原田さんは、もともと動物が大好きで、子供の頃から家には犬がいた。親戚の家には猫がいて、その猫に会うのが楽しみだった。
「ミーちゃんと出会い、この子を連れて帰ることができるのは私しかいないという不思議な感覚が芽生えていました。それまで何度も野良猫に出会ったのですが、これほどまでにミーちゃんに惹きつけられた自分が今でも不思議です。」
2022年5月12日、明日が雨という天気予報を見て、原田さんは、その日のうちにホームセンターへケージを買いに行き、ミーちゃんを迎える準備をした。そして、タイミングを見計らってミーちゃんを保護したという。
ミーちゃんをケージに入れると不安そうにミャアミャア鳴いて、ご飯も食べず、トイレもせず、2、3日は夜中にケージの中で暴れまくっていた。
ミーちゃんは近所の人から食べ物をもらっていたようで、その頃から「ミーちゃん」と呼ばれていたので、そのまま「ミーちゃん」という名前になった。野良猫だったので、人見知りは激しい。家族には慣れているが、他の人は警戒する。いったん慣れたら、とても甘えん坊のようだという。
反対していた夫もデレデレ
トイレの粗相も一度もなく、とてもお世話のしやすい子だった。爪研ぎも猫専用の爪研ぎだけで済んでいる。
マンションの窓側にキャットタワーを置いているのだが、近くの家の屋根にカラスを見つけた時、「ニャーオー」という独特の鳴き声で鳴いた。
「こんな声が出るんだとびっくりしました。お外が恋しいのかなーと思う時もあります。」
ミーちゃんを迎えて私はお世話が楽しくて仕方がないという原田さん。
「夫は以前から『犬がいるから猫は飼えない』、『絶対にダメ』と言っていました。ミーちゃんを保護した時は事後報告となり、数日口を聞いてもらえませんでした。でも、今では『ミー』と呼んで可愛がってくれています」