「流される!」台風の中取り残された、生まれたての子猫 知識ゼロだったけれど家族全員で育て「つらい時もこの子に救われた」

渡辺 陽 渡辺 陽

母猫に置いていかれた赤ちゃん猫

凛(りん)ちゃん(5歳・メス)は、徳島県に住むMさんと、その家族の一員だ。凛ちゃんを家族に迎えたのは2018年9月2日のことだった。

台風の日の朝、Mさんの甥っ子が猫の鳴き声を聞きつけ外に出てみると、エアコン室外機の下に生まれたばかりの子猫たちがいた。しばらく様子を見ていると、母猫が何匹かの子猫を運んで行ったようで、最後の一匹が取り残されていた。

「だんだん雨水が溜まりだして流されそうになりこれはヤバい!流される、死ぬ!と急遽保護しました。その子が凛です」

赤ちゃん猫を迎えて右往左往

凛ちゃんを家に迎えた日は、ペットボトルの湯たんぽを用意したり、ホームセンターが開くのを待ちかねて哺乳瓶とシリンジを購入した。

「ミルクが無くて市内に一軒だけ有るペットショップへ急行。しかし台風で臨時休業、どうしょうえらいこっちゃと言っていたら、雨風が収まって来て開店。ミルクを購入し、やっと授乳でやれやれでした」

Mさんは以前は犬を飼っていたが、猫については全く何も知らず、ネットで調べたり友達の猫飼いさんに聞いたりして授乳から下の世話まで一生懸命取り組んだ。 

「最初は里親さんが決まっていたのですが、一生懸命行きようとする姿を見ると情が移ってしまいました。一番お世話してた甥っ子が俺が飼うと言うので、20年生きる子もいるとか責任持って飼うとか家族会議をして、正式に迎え入れることになりました」

名前は、甥っ子が好きなアニメの登場人物から取った。その名前の通り、凛とした性格で、優しく、賢く、適度な距離感を保ち、抱っこは嫌いでも腕枕は好き。添い寝もしてくれる。

コロナ禍、猫が癒してくれた

凛ちゃんには特別なエピソードもある。Mさんのお父さんが亡くなった時、凛ちゃんは家族の悲しみを察したのか、家族の間を行ったり来たりした。

「こっちが『そんなに気を遣わなくて良いからね』って言いました。父の祭壇にある遺骨に寄り添って1日の殆どを過ごしていた時には、こちらが泣きました」

普段は押し入れが大好きで、襖を破って穴を開け、中に入って満足げに寝ている凛ちゃん。猫じゃらしで遊ぶ時には一撃必殺のスタイルを持ち、その遊びぶりは見ている者を笑顔にさせてくれるという。

凛ちゃんは家族にとって癒しの存在。

「コロナ禍まっただ中に父が10ヶ月入院した後に亡くなり、また外出もままならない中、殺伐としそうだったのですが、凛は家族全員を支えてくれて、笑顔でいさせてくれました。可愛い、優しい、楽しい癒しの存在です」

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