大阪都心から出発するのに…のんびり♪30分間隔で運行される路面電車 阪堺電車・恵美須町~住吉間 ダイヤが映し出す街の栄枯盛衰

新田 浩之 新田 浩之

大阪には阪堺電車と呼ばれる路面電車があります。一般的なイメージとして、路面電車といえば、頻繁に電車がやって来るイメージがあると思います。しかし、大阪の中心地でありながら、約30分間隔というのんびりダイヤな区間があるそうです。

1キロほどしか離れていない始発駅で大きな違い

阪堺電車は恵美須町~浜寺駅前の阪堺線と天王寺駅前~住吉間の上町線で構成されています。

阪堺線と上町線は住吉電停で接続し、上町線の電車は阪堺線に直通運転します。従って運行区間は天王寺駅前~浜寺駅前、恵美須町~我孫子道間を基本としています。

さて、始発となる恵美須町電停と天王寺駅前電停の間は1キロほどしか離れていません。しかし、ダイヤを見ると違いは明確です。

恵美須町電停から我孫子道行きは1時間あたり2~3本を基本とし、平日は1時間あたり2本の時間帯が圧倒的に多いです。

一方、天王寺駅前電停から浜寺駅前方面行きは日中時間帯でも1時間あたり8~10本。平日朝ラッシュ時間帯には1時間あたり15本ほど運行されます。しかも、ノンステップ車両も用いられ、上町線の厚遇ぶりには目を見張ります。

近年、衰退が目立つ恵美須町~住吉間

かつては恵美須町~浜寺駅前間が主流であり、運行本数も都会を走る路面電車にふさわしい本数でした。しかし、2009年ダイヤ改正により、天王寺駅前~浜寺駅前間の直通運転が開始されると、恵美須町~住吉間は衰退の一途をたどることに。

2014年ダイヤ改正では恵美須町~住吉間の昼間時間帯の運行間隔は12分間隔を12〜24分間隔に。それ以降も運行本数の減少が続いています。阪堺によると、交通量調査などを基に運行本数の減少に踏み切ったとのことです。

恵美須町電停は電気街の日本橋の近くにあります。日本橋が電気街として全盛期を迎えたのは1960年代~1970年代のこと。しかし、平成に入ると、郊外に大型電気屋が進出したことにより衰退することに。また、2001年にヨドバシカメラが梅田に開店したことも大きいです。

日本橋の衰退と呼応するように恵美須町電停も存在感が薄くなっています。現に恵美須町電停はメインストリートの堺筋からほとんど気づかないところにあります。

一方、天王寺は2014年オープンのあべのハルカスに象徴されるように、発展の一途をたどっています。大阪中心部は梅田と難波が核ですが、「副都心」として天王寺が挙げられています。

恵美須町電停と天王寺駅前電停との差はは1日あたりの乗車人員にも表れ、2021年度の恵美須町電停の1日あたりの乗車人員は約200人に対し、天王寺駅前電停の乗車人員は約5000人です。

また、恵美須町~住吉間は南海本線の駅に近い電停も多く、東粉浜電停と南海粉浜駅の間は100mも離れていません。そのせいか、筆者が乗車した際もバスで対応できる利用客数でした。

このように沿線環境の変化や他社線との関係から、恵美須町~住吉間、天王寺駅前~住吉間に差異が生じています。今後も恵美須町~住吉間は現状維持が続くのではないでしょうか。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース