【遺伝子データ分析】九州人はご用心 「肥満型で中性脂肪が高い」タイプが多い都道府県 3位は鹿児島、2位佐賀

まいどなニュース情報部 まいどなニュース情報部

株式会社ユーグレナ(東京都港区)は、ユーグレナ・マイヘルスとジーンクエストの遺伝子解析サービスのゲノムデータをもとにした、「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプが多い都道府県(出生地)ランキング」を発表しました。

ユーグレナ・マイヘルスとジーンクエストが提供する遺伝子解析サービスは、個人の健康リスク・体質・祖先について、300項目以上の遺伝子型を解析し、どのような病気にかかりやすいか、どのような体質の遺伝的傾向があるかについて、結果を提供するサービスだそうです。

摂取された食物の中で、エネルギーとして使われなかった糖質や脂肪は、大部分が皮下脂肪として蓄えられますが、そのほとんどが「中性脂肪」であるといいます。

「中性脂肪(トリグリセリド)」は、普段は肝臓・皮下・血液中に存在し、糖質が不足するなどした場合、必要に応じてエネルギー源として消費、代謝される一方で、血液中の中性脂肪濃度が高いと、肥満症や脂肪肝になりやすいといわれています。

また、脂質代謝に関与することが知られている遺伝子に「APOA5(アポリポタンパク質A5)」があります。中国の浙江大学の研究チームが、高グリセリド血症との研究が広く行われている「APOA5」遺伝子に注目して子どもの時期の肥満と関連があるのか調べました。700人以上の中国人の若者を対象に調査を行った結果、「SNP:rs651821」という遺伝子型において「C」を持っている人ほど「肥満または過体重」の傾向があり、血液中のHDL(善玉)以外のコレステロール濃度や中性脂肪(トリグリセリド)濃度も高い傾向があると分かりました。(※)
(※)Zhu WF et al. (2014) "Triglyceride-raising APOA5 genetic variants are associated with obesity and non-HDL-C in Chinese children and adolescents." Lipids Health Dis. 13:93.

そこで、本調査ではダイエットの観点から脂質代謝に関わる遺伝子の遺伝子多型と肥満傾向・体質の関係をみた項目「ダイエット【脂質代謝】(SNP:rs651821)」に注目。

2023年9月に同サービスの利用者の中から2万1371人のゲノムデータを用いて、「標準型に多いタイプ(遺伝子型:TT)」、「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ(遺伝子型:CT)」、「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ(遺伝子型:CC)」の3つのタイプのなかから「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ」である「CT」と「CC」の遺伝子型を「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプ」とし、該当する人の割合を都道府県ごとに算出し、数値化しました。

その結果、「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプが多い都道府県」の1位は「沖縄県」(69.95%)となりました。以下、2位「佐賀県」(63.76%)、3位「鹿児島県」(61.99%)、4位「秋田県」(61.67%)、5位「島根県」(60.00%)、6位「福島県」(59.94%)、7位「宮城県」(59.67%)、8位「山形県」(58.96%)、9位「宮崎県」(58.94%)、10位「新潟県」(58.70%)と続き、九州や東北各県が上位に入る結果となりました。

一方、「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプが少ない都道府県」は、少ない順に「高知県」(51.52%)、「静岡県」(52.54%)、「大阪府」(52.64%)、「栃木県」(52.71%)、「長野県」(52.99%)となっています。

なお、東京大学の研究チームが2023年2月にアメリカの科学誌『アイサイエンス(iScience)』のオンライン版で発表した研究論文(※)では、縄文人由来の遺伝子多型を多く持っている「”縄文度”が高い地域」として、一番高いのは「沖縄県」で、次いで「東北各県」や九州では「鹿児島県」、中国地方では「島根県」と報告されており、本調査の「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプが多い都道府県ランキング」の上位に入った地域と非常に似ていることが見て取れました。

ちなみに、縄文人由来の遺伝子多型である「血糖値および中性脂肪を高める」遺伝的因子は、現代の日本人にとっては肥満の要因となるものの、縄文人にとっては、血糖値や中性脂肪を高く維持することで常に食料を入手できるわけではない狩猟採集生活に適応していた可能性があると考えられています。
(※)Watanabe, Yusuke, and Jun Ohashi. (2023) “Modern Japanese ancestry-derived variants reveal the formation process of the current Japanese regional gradations.” iScience. 3;26(3):106130

また、「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ(遺伝子型:CT)」に該当する日本人の割合は45.6%、「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ(遺伝子型:CC)」では11.8%となったことから、日本人の約6割が「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプ」に該当することが推測されるとしています。

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