2023.11.04(Sat)

母体が心停止する中で生まれた赤ちゃんが無事1歳に　意識はないが体は元気に成長　命を取り留めた母が振り返る1年の苦悩と幸せ

「娘、無事に1歳を迎えました。3kgで産まれた娘は気付けば8kg超え」と、えあーさん（@__air__xo）はXに投稿しました。ただ、その続きを読むと、えあーさんが幾多の苦悩と喜びが伝わってきました。

母体の心停止後、吸引分娩で出産

「意識は無いけれど身体は元気に成長してくれました。1年前の10月5日子宮口が全開になり、いざ分娩室へ！と体勢を変えた瞬間に私の意識が無くなりました。その後心臓も止まってしまい、娘には苦しい思いをさせてしまったね。私の心臓が止まってる間は娘にも酸素が行かない状態で、それでも産婦人科の先生たちが必死につなぎとめてくれた命。心肺蘇生をしてもらってから吸引分娩でようやく娘は産まれました」

生と死の間で

「私はそのまま大きな病院へ搬送され”子宮を取らないと命は助からない”と言われ子宮摘出術をして一命を取り留めました。原因は”羊水塞栓症”。もしかしたら娘の誕生日が私の命日になっていたかもしれない。それくらい死亡率の高い疾患です」

突き付けられた厳しい現実

「私が目覚めてから”子宮は摘出しました”、”娘の意識が戻る見込みはありません”と、まるで夢を見ているかのような非現実的な事実を突きつけられました。正直未だに信じられなくて、信じたくなくて現実から目を背けたくなります。お腹にいる間は元気に動いていて経過も問題なかった娘。それが出産時に起こった出来事によって一生寝たきりになるなんて。こんな未来になることを想像していなかっただけに悔しくて辛くて。前回は死産だったし何で自分たちばかり...と責めてしまう日々です。
本当は、
” 娘の目を開けた姿 ”
” ミルクを飲む姿 ”
” 泣き声 ”
” ハイハイしたり歩く姿 ”
色々見たかった。娘と沢山お話したかった。大きくなったら悩み事聞いてあげたかった。やりたかったことは沢山あって、正直諦めきれないって思います」

自身のメンタルケアが課題

それでも1日ずつ時間は過ぎていって、今も辛い日はあるけれど、何とか前を向きつつあります。初めはよく周りの赤ちゃんと比べてしまいました。なぜうちの娘なんだろう。みんな元気に産んでいるのにこんなのおかしい、、と。でも周りと比較することは結局自分の首を絞めていることにしかならないので、やめることにしました。今は極力周りと比較せず、精神的に辛くなったら1度リラックス出来ることをし、自分を俯瞰するようにしています。自分が精神的に少しでも前向きな時の方が娘に対してポジティブな気持ちで接することができるので、今後も自分自身のメンタルケアは課題です。最後になりますが、娘は娘なりに頑張っているので、これからも大切に見守っていきます。いつも応援ありがとうございます」

◇　　◇

なんとか前向きになろうとしているえあーさんにお話を聞きました。

ーー無事に1歳を迎えてくれて良かったですね。

「嬉しいです。成長そのものに不安はありますが、意識がないとはいえ生きていることには変わりないですし、可愛い娘なので」

ーーお嬢さんのことを知った時は精神的にもきつかったでしょうね。

「はい、かなり苦しかったです。娘が誕生し、意識はなくとも命は取り留めてくれたことは複雑でもあり希望ではありました」

ーー他の子やご家族と比べないというのは、大切なことだと思われますか。

「さまざまな気持ちと葛藤する日々を過ごす中で、比べないことは自分を守ることでもあり大切だと感じました。他人を妬んだところで自分が幸せになれるわけではないので、それなら比べず周りの幸せも受け入れるようにしています」

ーーリラックスするためにどんなことをされていますか。

「十分な睡眠を取り、趣味の美容を楽しんだり友人と話をしたりすることで心の平穏を保っています。苦しい時は自分を客観的に見て、冷静になることを意識しています」

ーーご自身の命も助かって良かったですね。

「今は、そう思いますね。助かった直後は生きていても地獄だと思っていましたが、自分のために必死に命を救ってくれた先生方の話を聞き、自分を心配してくれる親族や友人や夫、意識無いながらも頑張って生きてる娘を見て、自分の命は無駄にできないし、生きがいを見つけて頑張ろうと思いました」