「値段の付け方、完全におかしい」 香水の価格高騰が話題に 10年で約70%アップ「またまた貴族のものに」

中将 タカノリ 中将 タカノリ

香水の価格高騰がSNS上で大きな注目を集めている。

きっかけになったのは香水レビュアーのドギー本澤さん(@doggyhonzawa1)による

「あのね、一個だけ言いたいことね。昨今の香水の値段の付け方、完全におかしいよ。ニッチブランドは元々少数でクリエイトしてるから香料やボトル調達で大企業みたいにたくさん発注できないから自然と単価が上がるのわかるよ。でもね、明らかにおかしい。高すぎるんだよ。絶対に。」

「それは欧米の意見でもあって、日本人より明らかにたくさん香水を使ってる方たちが『50mlで3万円?バカ高い!』と口々に言ってる。自称香水の帝王ルカでさえTFのPBシリーズを『なんでこんなに高いんだ‼︎』と書いてる。いつから香水はドバイの石油王に売りさばくための値段がテンプレになったんだ?」

といった一連の投稿。

経済産業省の統計によると、香水・オーデコロン類の出荷販売単価は2000年代おおよそ1kgあたり15000円前後だったが、2010年代に年々高騰し、ここ数年は1kgあたり25000円前後で推移している。原料費の問題や円安の影響もあるかもしれないが、10年やそこらでここまで高騰するとは、やはりなんらかの意図がはたらいているのだろうか。

本澤さんの投稿に対し、SNSユーザー達からは

「価格高騰で使ってるやつが遂に4万円台に突入して驚いた。香水がまたまた貴族のものに。」
「みんなトムフォードの真似してる 香水ってこんなに高くてもいいんだ~と思わせられたのかな。みんな。」
「昔使えた材料が今は手に入らない等の理由で科学的な物への置き換え等で価格を守っていたけれど、自然回帰で天然物を多く使用する様な傾向に傾いています。それが価格に跳ね返っている様ですよ。香りが過去の記憶と結びつく幸せがあります。」
「香水業界の端っこで働いてますが、こういうのは高い方が売れるんですよ。大手さんが最大ロットで作ったモノは研究費が高いが万人受けで薄利小規模に小ロットで作ったモノは、研究費を抑え原料が高くて、高利益設定どっちも高い原料なんて使ってません でも売価は合わせます」

など数々の共感の声や意見が寄せられている。

投稿者に聞いた

本澤さんに話を聞いた。

ーー今回の投稿のきっかけは?

本澤:毎年10月になると新宿伊勢丹を中心に開かれている「サロンドパルファン」という香水ブランドを一同に集めたお祭り的イベントが開催されます。自分は今年は行けなかったのですが、何年か前に開催された時のパンフレットや最近の香水価格が軒並み跳ね上がっていることに対してとても驚きました。

ご存知のように嗜好品は昔よりもどんどん値上がりしていく物です。ですが、ひいき目に見ても「これくらいの香料でこの値段はおかしいのでは?」と感じる作品がここ10年増えてきました。

業界の動向を30年目で見て感じて、今年のサロンドパルファンでたくさんのファンたちが一度に10万、20万もお金を出して夢を買っている姿に「何だかなあ」と思い今回の投稿をした次第です。

ーーどんな背景があるのでしょうか?

本澤:香水界は以前、ゲラン、CHANEL、DIORといった大手が席巻し、世界的なマーケティングを行うことで大量に作って安く販売していたのですが、ここ20年で小規模なハウスであるニッチブランドが続々台頭し、彼らは少数経営のためあらゆる面で高単価商品にせざるを得ない中、道を切り開いてきました。

しかし、昨今の香水文化の広がりと共に、何でもかんでも高単価にすればよいという風潮になってきたのは事実です。なぜなら安価に大量マーケティングしてきた大手までがニッチの高単価商品を真似て、必要以上に値上げしてきている点もあるからです。香水は何千円かの市販価格でもとてもいい物は作れます。昔から値段はあってないような物です。

ーー投稿が反響を呼びました。

本澤:まず、「そうだそうだ。高くなってる」という同調意見があまりに多いことに驚きました。それ以外は特に検索して見なかったのでわかりません。どうやら軽く炎上したように聞いていますが、興味ないので見てないです。

「学生の頃、少ない小遣いの中から3000円ちょっとを握りしめてタクティクスを買った」という話も投稿しましたが、これは安価にいい物を提供してくれれば若い子達も香水に興味を持ち、より夢や裾野が広がるという事例として使いたかったのですが、字数の関係でそこはうまく伝わってなかったと思います。もし巷に「安い香水しか買えないのか。なら買うな」論があっても自分の言いたかったこととは関係ありません。

ハイブランドの物は高価かもしれません。ただ自分は「値段の付け方、それどうなの?」と疑問を呈しただけです。それ以外の理由云々に興味はありませんし、それぞれの考えで楽しめばいいはずです。

◇ ◇

読者のみなさんは愛用する香水の価格に納得しているだろうか?

ドギーさんはSNSや香水レビューブログ「香水ドラマストーリー」で日々さまざまな香水に関する情報を発信している。ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。

ドギー本澤さん関連情報
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