愛知県高浜市で行われた祭りで、参加者の男性が馬に飛び蹴りする動画がSNSで拡散され、批判が相次いでいる。市は祭りの実行委員会に口頭注意した。
動画は、9月30日から2日間、高浜市の春日神社境内で開かれた「高浜おまんと祭り」で撮影された。丸太で組んだ円形の馬場を馬が走り、そこに人が飛びついて一緒に駆ける「駆馬(かけうま)奉納」が有名で、市の無形民俗文化財にも指定されている。
駆馬奉納では本来、馬が時計回りに走ることに決まっているが、動画に映っている馬は最初、半時計回りに走った。「反対反対!」と周囲の人たちが叫ぶ中、1人の男性が助走をつけて馬に飛び蹴りした。それでも馬は止まらず、最終的には別の男性が馬に併走しながら首にしがみついて動きを止め、周囲から拍手と歓声が沸き起こった。
動画を撮影した人は「走る方向を時計回りに直すための行為だと思うが、虐待と思われても仕方ないと思う」と話す。30日夕方に撮影された動画はその日のうちからX(旧ツイッター)で拡散。「馬は普通に走っているだけなのに気の毒」「集団でいじめているようにしか見えない」と批判が相次いだ。
これを受け、市の担当者は翌日の10月1日に実行委のもとに赴き、馬を蹴った行為について口頭で注意した。担当者によると、祭りは180年ほどの歴史があるといい「決してああいったことをする祭りではない。再発がないようにしたい」と話している。
春日神社は同日にウェブサイトを更新。「馬が逆走し、馬の回る方向を戻そうとする動きの中で、馬に対して蹴ると思われる行為が確認されました」「蹴るという行為は決してあるべきことではないと考えております。余興関係者、実行委員会に類似行為が無いように働きかけていきます」とした。馬は、獣医から異常なしという診断を受けたという。「皆様にはご心配をおかけし、また不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした」と謝罪した。
同市を管轄する愛知県警碧南署によると、Xの動画を見た複数の人から「動物虐待では」といった通報が寄せられているという。同署は「まだ事案を把握しただけの段階なのでそれ以上のことは言えない。事実としてどうだったのか、確認を進めたい」としている。