誰も乗っていないトラックからクラクションが鳴り続けている…。ホラー映画の伏線シーンのような状況ですが、実はこれ、命に関わる非常事態なのだそうです。
「これは義務教育に含むべきと思っているのですが誰も乗っていない停車中のトラックがクラクションを鳴らし続けていたら怖がらないですぐに荷台を開けてあげて下さい。中に人が閉じ込められているのかもしれません。これは知っておいて下さい」
荷台の中に人が閉じ込められている!?
こんな驚愕の事実をX(旧:Twitter)に投稿したのは、トラックやバスを作っている商用車メーカーに勤務する、商用車メーカーの中の人(@trucknakanohito)さん。コメント欄には、「知らなかった」「覚えておきます」といった声と共に、トラック識者の方々からの貴重な経験談も殺到しました。
「台風の日に強風で突然、荷台の扉が閉まって閉じ込められそうになったよ」
「奥にある荷物の裏で伝票確認していた瞬間に、バイト君が勢いよくドアをガチャン!」
「閉じ込められたことがある人間は割と閉所恐怖症になる人も多いんですよね~」
荷台から非常用のクラクションが鳴る仕組み、そして、非常事態に遭遇した時の対処法について、商用車メーカーの中の人さんにお話を聞きました。
トラックの荷台に装備されている「非常用ブザー」
ーートラックの荷台に閉じ込められる……怖いですね。
「頻繁に起こるものではないはずのアクシデントなのですが、今回のポストに対するリプライを見ると、こういったアクシデントを見たと言う人が結構いらっしゃるようで、意外と多く発生しているのかもしれません…」
ーー閉じ込められた荷台の中からどうやって「クラクション」を鳴らすのですか?
「荷台の中に非常用のブザーあって、それを押すとクラクションが鳴る仕組みになっています」
ーー荷台の扉が閉まる仕様のトラックには必ず装備されているのですか?
「これはオプション装備なので、付いていないトラックもあります。また、車体を製造している商用車メーカーは『荷台』を作っていません。架装メーカーという別会社が荷台を作っていて、非常用ブザーは荷台のオプション装備という形になります」
絶対に「放置」はしないで!
ーーコメントの中には、「荷台に誰が入ってるかわからない怖さがある」と、扉を開けることを躊躇する声も見受けられました。どう対処するべきでしょうか?
「ケースバイケースですが、もしこういった状況に遭遇した時は、先ずはトラックの荷台を叩き、中から反応があるか確認してみてください。もし反応があれば、おそらく”開けてくれ”と助けを求められると思うので、出来ればすぐに扉を開けてください。仮に反応がない場合でも、中で人が倒れている可能性があるため、すぐに扉を開ける必要があります。とにかく放置だけは絶対にしないでほしいです」
「園児の送迎バス」にも欲しい
「ブザーやクラクションではなく、音声メッセージを流してほしい」という声も寄せられていましたが、識者のコメントによると、『助けて下さい!中に人がいます!』といった、音声メッセージが鳴るタイプもすでにあるそうです。また、「バスに園児が取り残される事故なども、似たような仕組みで防げそうですね」といったコメントも見受けられました。
真夏の炎天下に停車中の荷台や、冷凍車の荷台に閉じ込められた場合は特に致命的です。物流を担うトラック運転手さんたちの命を守る大切なサイン、覚えておきたいですね。