保護した時から腕をチュチュッ…大きくなってもおでこを押し付け甘えてくる猫 「幸せって、実はすぐ目の前にあるのだと教えてくれた」

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

JR佐賀駅から北に20キロ、標高200メートルの山峡にある古湯温泉は、約38度の心地よい「ぬる湯」で有名。温泉街の一角にある「ふるゆ温泉share salon -flow-」は、ヘッドスパ、鍼灸、カッサマッサージなど、施術家にスペースを貸し出しているシェアサロンだ。マネージャー・島内明子さん(45)の飼い猫で猫館長の「しらたま」(オス、6歳)は甘えんぼうで、島内さんに自分のおでこをぺたっとくっつける癖がある“でこぺた猫”。猫館長の接客、施術、(温泉街にある)温泉と3つの癒しが味わえる。「しらたまと出会わなければ、今とはきっと違う人生になっていた」と語る島内さんに話を聞いた。

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島内さん しらたまと初めて出会ったのは6年前、佐賀市内にある友人の店の前でバーベキューをしていたときでした。まだ生後3カ月くらい。前の公園をうろうろし、真っ白な毛は薄汚れ、体は痩せ細っていました。友人いわく「1週間ほど前から見かける野良の子猫だよ。捨てられたのか、母猫とはぐれたのか…」と。バーベキューの匂いにつられたのか、近くまでやってきて食べたそうにしているんだけど、近づこうとすると逃げるんです。

私はその子がどうしても気になり、数日後、再び公園に行ってみると、やっぱりそこにいました。何か食べたそうにしている、でも近づくとびくっとするといった感じ。ならばと翌日、今度はおやつを持っていくことに。すると、次第にそばまで寄ってきてくれて、ガツガツ食べ始めました。食べ終わると抱っこもさせてくれました。「さびしかったよー」みたいな感じで甘えてきたので、やはりお母さんとはぐれてしまったのかな。はじめは警戒していたのに、こうしてすぐに心を許してくれた健気な姿を見て、心を奪われてしまいました。
 
過去に猫を拾って実家で飼ったことが何度かありましたが、大人になってからは、猫は大好きだしいずれ飼いたいけれど、飼えば長く家を空けられなくなるなど行動も制約されるし、当然ですが終生飼育の責任があります。猫と暮らすのはまだ先かなと思っていました。

でも、この子と出会ったとき「この子を守りたい」との思いの方がはるかにまさっていました。健康状態がよくなさそうだったため、保護して病院へ。それでわかったのですが、公園をさまよっているときは虫や小動物を食べて飢えをしのいでいたようです。迷い猫ではなく飼い主もいない野良だったため、正式に私が飼うことになりました。

保護した直後から、チュチュチュッと私の腕を吸い、前脚を交互に動かしてフミフミするんですよ。その姿がもう、愛おしくて。名前は真っ白だったので、地元名物の美味しい饅頭にちなんで「しらたま」と命名しました。

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