泥沼離婚は避けたいと、「自分に好きな人がいることがバレないように離婚したい」と願う女性から相談がありました。しかし、運命の人だと感じている彼のことや、離婚したいと思うようになったきっかけなど、詳しく話を聞いてみると、もうすこし状況を「整理」してみることが必要なようです。これまで3万8千件の相談に答えてきた離婚カウンセラー・夫婦問題研究家の岡野あつこさんが回答します。
私の「女性としての努力」に“鈍感”な夫につくづく閉口
【相談】現在、私は35歳。結婚して6年、子どもはいません。2歳年上の夫とは、友人の紹介で知り合い、1年ほど付き合った頃にプロポーズされて結婚。新婚当初はお互いに気持ちが盛り上がっていたせいか、このままずっと円満な夫婦でいるものだと信じていました。
ところが、子どもを授かることもなく、結婚して5年目を迎えたあたりから夫婦関係がマンネリ化しはじめました。そして、そんなタイミングで私に好きな人ができてしまったのです。
相手は同じ職場の先輩です。仕事を教えてもらったり、悩みを聞いてもらったりしているうちに、二人で仕事の終わりに飲みに行く機会が増え、半年もすると自然と深い仲になっていました。今では「この人こそ私の運命の相手だったのではないか」と思うほど彼に夢中になっています。
彼に惹かれる理由はいくつもありますが、いちばんうれしいのは、私を女性として扱ってくれることです。というのも、夫は私が髪を切っても、新しい服を着ても、気づいてくれることはありません。
仕事で「こんなことがあったの」と報告しても、「ふーん」と関心なさそうなリアクションが返ってくるだけ。しばらく夫婦生活がなかったこともあって、もう「男と女」ではなくなってしまったことを実感しています。
だからこそ、今の彼と夫とを比べてしまいます。彼は「かわいいよ」「いつもキレイにしているね」「新しいヘアスタイル、よく似合うね」「その服、いいね」というように、私の女性としての努力に気づき、しっかり認めてくれるのです。
今は、どうしたら夫とスムーズに別れ、彼と一緒に暮らすことができるかをあれこれ考えてしまう時間が多くなっています。泥沼離婚は避けたいし、彼との関係がバレたことにより夫から訴えられるのも困るな、と……。
「今」より「将来」を考えて…本当に離婚するべきか判断を
【岡野さんの回答】精神的にも肉体的にも成熟していく年代に、夫から女性として見てもらうことができないのは、不安にもなり、寂しくもなるもの。ですが、離婚をすることを決断する前に、まずは今の自分の環境を考えたうえで、「夫か彼か」を客観的に見直す必要があります。
浮気相手の彼が、あなたの容姿をほめてくれるかどうかより、「いざという時に守ってくれるのか」「経済的に支えてくれるのか」を検討することも大事。目先のことだけでなく、将来のことまで予測することは欠かせません。というのも、今の彼はあなたに対しての責任はないからこそ、気持ちにゆとりを持ってあなたに優しくできているという可能性もあるからです。あなたと再婚して社会的な夫という立場になってからも、今と同じスタンスでいてくれるかどうかを冷静に考えてみましょう。
さらに、もし夫と別れることになった場合、「あなたの身内や夫の家族はその事実をどう受け取るのか」「それぞれの職場での立場や社会的信用はどう変わるのか」「再婚の話がなくなった場合でも経済的な不安はないのか」などの答えも詰めていかなければなりません。
それでも「離婚したい」という気持ちをかためられるようなら、いよいよ夫婦間で話し合いをする段階です。その際、「好きな人ができたから別れたい」というアプローチではなく、夫婦の問題として、将来にわたる結婚生活を続けられない大きな問題が夫の言動にあることを伝えるようにします。そこで改善の可能性もなく、あなたの気持ちを理解してもらえないようなら、弁護士と相談して離婚の方法を探るのが、話をスムーズに進める手順です。
◆岡野あつこ(おかの・あつこ) 離婚カウンセラー・夫婦問題研究家
「離婚しないに越したことはない! 」をモットーに、3万8000件以上の結婚、離婚、再婚相談を受け、数多くの夫婦問題を解決に導く。カウンセラー育成にも力を注ぎ、「マリッジカウンセラー、夫婦問題カウンセラー養成講座」を開講。課題解決型マッチングメディア「リコ活」アドバイザー。
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