「ひつぎに顔を入れないで」消費者庁が注意喚起 故人とのお別れ…CO2中毒で死亡事故相次ぐ

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葬儀の際、ひつぎに入れられる保冷用のドライアイスが原因の二酸化炭素中毒とみられる死亡事故が消費者庁に報告されました。故人とのお別れの際にはひつぎに顔を入れないよう呼び掛けるとともに、国民生活センターが調査したひつぎの中の二酸化炭素濃度などの結果を公開しました。

消費者庁によると、ひつぎに入れられる保冷用のドライアイスが気化した二酸化炭素を吸い込み中毒を起こしたとみられる死亡事故が2020年、2021年で全国で3件確認されました。「葬儀場において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶の小窓を開けたそばで、意識不明の状態で発見され、搬送先の病院で死亡した」(宮城・70歳代) 「葬儀場において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶内に顔を入れた状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された」(宮崎)「自宅において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶内に顔を入れた状態で発見され、死亡が確認された」(沖縄・60 歳代)という内容でした。

詳細な経緯は分からないものの、通夜終了後、告別式までの間、遺族らが寝ずの番(線香番)を行っている時間帯に発生したと報告されています。葬儀に参列する人々がいる状況ではなく、周囲に人がいない中で故人にお別れを告げる時間を過ごし、ひつぎの中に話しかけるなどの際に事故が起きているものと推測。ひつぎの中でドライアイスが気化し、二酸化炭素が充満していることの危険性を認識できていない状況が考えられます。なおドライアイスによる二酸化炭素中毒の事故は、ドライアイスの製造、輸送、貯蔵過程での労働災害が多く、消費者の事故はあまり例がありません。

急激な濃度上昇

事故を受けて国民生活センターがひつぎに10キロのドライアイスを入れて二酸化炭素の濃度を測る実験を行ったところ、ひつぎのふたを閉めた状態では急激に濃度が上昇し、20分後には「ほとんど即時に意識を消失する」とされる30%を超え、4時間後にはおよそ90%まで上昇しました。酸素濃度はテスト開始直後から次第に低下し、1時間後には「意識消失」するとされる 10%程度まで低下し、3時間後には気体検知管の測定範囲の下限である6%を下回りました。

ふたを閉めた状態で 24時間後の濃度を測定したところ、二酸化炭素は 85%程度と高濃度を維持し、酸素濃度は測定範囲の下限である6%を下回った状態でした。その時点で、ドライアイスは約8キロ減少していました。

ドライアイスを設置しふたを閉め、内部の二酸化炭素濃度が90%前後でほぼ一定となった状態からふたをすべて開け二酸化炭素と酸素の濃度推移を調べたところ、二酸化炭素濃度は、開けた直後に60%まで落ちましたが、その後、低下は緩やかになり、50分が経過しても「ほとんど即時に意識消失」するとされる30%以上を維持していました。酸素濃度は、ふたを開けた直後は約10%で、そこから緩やかに上昇し50分後には15%となりました。

二酸化炭素は空気よりも密度が大きいため、ふたを開けても空気の大きな対流が起こらない限り、ひつぎに残りやすく、ドライアイスから昇華した二酸化炭素が継続して充満しているためと考えられます。

1人で線香番をしないで

消費者庁はドライアイスを入れたひつぎは二酸化炭素が充満しやすいとして、故人とのお別れの際にひつぎに顔を入れないようにするほか、室内の換気を十分に行う▽万が一に備えて線香番などで1人にならない▽気分が悪くなったらすぐにひつぎから離れるーといった呼びかけをしています。

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