車内から見つかった昨年製造の食パンが、カビ一つ生えていない。そんな投稿がネット上で話題になっています。
かか(@kaka7dario)さんが5月下旬、Twitterに投稿した山崎製パンのロイヤルブレッドは、消費期限が2022年8月11日と印字されていますが、パンにカビがまるで見当たりません。「1週間くらい前のだと思い込んで、食べようとした」「あまりの新鮮さに驚いた」とかかさんは振り返ります。
9カ月前に作られた未開封の食パン、食べても大丈夫なのでしょうか?製造した山崎製パンに聞きました。
匂いもふわふわ感も買いたてみたい
かかさんによると、息子さんの車を掃除していたところ、後部座席でさまざま荷物に埋もれていた未開封の食パンを見つけたといいます。かかさんは「カビすら生えていないのが不思議。そばにあったリュックはカビてたのに」と不思議がります。
最近買ったかと見まがうほどのフレッシュな見た目を保っており、「匂いもふわふわ感も買いたて状態だった」「まだ食べれそうな感じ。美味しそう」とキッチンに持って行き、パッケージの消費期限を見て衝撃を受けました。「背中に冷たいものが走った。まさか去年のだとは」。かかさんが口にすることはありませんでしたが、「気付かなかったら食べてました」と振り返ります。
カビが全くついてなかった
買いたてのように見える9カ月前の食パン。なぜフレッシュな見た目なのか、食べられるのか、ロイヤルブレッドを製造する山崎製パンに聞きました。
ーー9カ月前に作られたロイヤルブレッド、食べることはできますか。
「消費期限が過ぎたパンの喫食は、メーカーとしておすすめできません。
消費期限は、開封前の状態で定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなる恐れがないと認められる期限を示していますので、 期限が過ぎた製品の喫食はおすすめできません」
ーーなぜ9カ月前に作った食パンにカビが生えてないのでしょう?
「食パンにカビが生える原因ですが、食パンの製造は、通常200~250℃で30~40分間の焼成工程があり、その際の中心部の温度は95℃を超えるため、たとえ焼成前にカビ胞子が付着していたとしても、焼成により死滅します。
このため、焼成後の冷却、スライス、包装工程で、空気中に浮遊するカビ胞子等が食パンに付着した場合に、カビの生育は始まります。 また、お買い求めいただいてから袋の開封後に手で触れることなどで、カビ胞子が付着することもあります。カビの胞子がパンの表面に付着し、胞子が発芽・生育して集落(コロニー)作ることにより、肉眼で見える大きさになります」
「食パンに付着するカビ胞子の数は、焼成後の製造環境の清浄度合、清潔度合で違いがあり、カビ胞子が全く付着しないものにはカビの発生がありません。
今回のツイートの件については、カビ胞子が全く付着していないものであったと推測されます。
また、食パンは、ロングライフ製品に使用するようなバリア性のある包装紙を 使用していないため、日数の経過とともに食パンの水分が徐々に包装紙から蒸発し、カビが生えない水分活性値以下になったことも要因としては考えられます 」
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山崎製パンはホームページで「カビの付着を防止するために、AIB食品安全統合基準に基づき、各製造機器に清掃手順書を定め、決められ たスケジュールにより清掃を実施し、衛生的な製造環境の維持向上に努めています」と工場内の衛生状態について説明しています。
厳密な衛生管理の下、作られている食パン。高温多湿の日本で進化を遂げた食パンを、今日もありがたくいただきます。