骨と皮だけガリガリで、山に棄てられていた犬→9月で8歳の誕生日! 宿の看板犬として兄犬と活躍「家族になれて良かった」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

――クララさんを保護した当時のことを教えてください。

「私がリュックさんを乗せて青森空港へ車で家族を迎えに行く途中、八甲田山中の国道脇のガードレールの下からひょっこりのぞくワンちゃんと目が合った気がして、数メートル先の路側駐車帯で車をUターンさせました。戻って確認してみたところ、道路脇の茂みの中にクララさんが横たわっていたんです。骨と皮しかないようなガリガリの状態だったクララさん…体中ウンチとオシッコまみれで悪臭がし、手足の爪も伸びきっていてとてもひどい状態でした。

私が近づくと尻尾を振って立ち上がろうとするのですが、うまく力が入らないようで立ち上がることができませんでした。私はクララさんを抱きかかえて車に乗せ、すぐにふもとのホームセンターへ駆け込み、水や犬用の離乳食、ソフトタイプのドッグフードを買って食べさせました。歩く元気はなかったものの、尻尾を振る体力はまだあったようで。尻尾を降りながらガツガツと夢中でご飯を食べるクララさんの姿は一生忘れられません」

――保護の翌日、病院にクララさんを連れて行かれたとか。

「はい。保護翌日に獣医さんに診てもらったところ、体重が6キロ弱でしたが、幸いにも飢えからくる栄養失調と体力の低下以外の病気やけがはなく、『ただご飯をしっかり食べさせて様子を見てください』とのことでした。さらに、伸びた爪の隙間に土が付いてなかったり、ふん尿で汚れてはいたけど体に泥や枯れ葉や野草の種などが全く付いていなかったので『山をさまよった感じではなく、誰かがこの子を山に運んで棄てたのではないか』とも獣医さんは言っていましたね」

立ち上がることもできなかった元保護犬、突然立ち上がり...名前を「クララ」に

――おうちにお迎えした当初は?

「保護した後、すぐ近くの交番に拾得物の届け出をし、3カ月間落とし主が現れず、私が飼うことになりました。クララさんと暮らしていくうちに立ち上がるようになってもクララさんの歩き方がぎこちなく、さらには異常な食ふん癖があることが分かりました。そのことを獣医さん話したら『ケージからほとんど出してもらえなくて、ほとんど外や土の上を歩いたことがなかったかもね。だから歩き方が良く分からないのかも』と。またケージ内で満足なご飯もなく自分のふん尿で生き延びた可能性があるかもしれないと言われました。

最初は立ち上がることもできないほど体力が低下していましたが、栄養のあるご飯とお水をひたすらあげて2日程経つと、クララさんが急に立ち上がったので『立った!!』と皆で声をあげて喜びました。そう、(アルプスの少女ハイジの)クララが立った!!というわけで、その日から、この子の名前はクララになりました」

――立ち上がれるようになったクララさん。徐々に慣れていったようですね。

「体力が回復して立ち上がったクララさんは、まだ痩せて体型は少しいびつでしたが、ヤンチャで食いしん坊でした。やはり一度飢えてしまったからなのか食べ物への執着がすごくて。リュックさんのご飯やおやつを横取りする勢いだったので、リュックさんの分を確保するのに苦労しましたね。とはいえ、歩き方がぎこちなかっただけではなく、飢えた状態から私に保護され私からご飯をもらえるようになったことである意味ヒヨコで言う『刷り込み』がなされてしまったのか、もしくは再び棄てられるのが怖かったのか、とにかく私から離れるのが不安なようでずっと私の後ばかりくっついて、私の姿が見えないと悲痛な鳴き声をあげていました。

でも『歩き方』も『分離不安』もリュックさんがいることによって徐々に解決。リュックさんが散歩で歩き方のお手本を見せてくれましたし、私がいなくてクララさんが不安を感じている時もリュックさんが遊び相手になってクララさんの気を紛らわせてくれたんです」

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