コムギちゃん(3歳・メス)は、2022年4月、Oさん夫妻の家の庭にふらりと現れ、濡れ縁でごはんを食べるようになった。食べ終わっても濡れ縁で昼寝をしたり家の中を見ていたりしていた。
「日に日に滞在時間は長くなり、夜も私たちが用意した寝床で寝るようになりました。10月頃、寒くなる前にと家に入れました。当時2歳くらいでした」
コムギちゃんは家の中を怖がって、ゲージの中の隅っこで丸まっていた。落ち着くまでとゲージに布を被せると、少しずつ慣れていったという。
「その時、先住猫のチョビは全く遠慮なくゲージの中に入っていき、コムギに寄り添っていました」
名前は、小麦色の被毛にちなんでいる。普段は「コムちゃん」と呼んでいるという。
かけがえのない家族
コムギちゃんは、怖がりで甘えん坊。いまだに抱っこはできないが、自分が甘えたいときだけスリスリしてきて、コムギちゃんの気がすむまで全身を撫で撫でしなくてはならない。
「コムはとにかく(先住猫の)チョビが大好きです。家に迎えたばかりの頃は、特にチョビから一時も離れずにいました。安心するのか、寝るときは必ず一緒です」
猫は自分たちにとってかけがえのない家族だと言うOさん。
「この子たちも野良時代には外の厳しい環境で生活し、空腹で辛い思いや怖い思いをしてきたのでしょう。そう考えるだけで、心が痛くなります。こんなに大切に思える存在が、人間の都合で増えすぎてしまったり、飼い主が見つからず保健所などで殺処分されてしまう現状を、少しでも良い方向へ変えたいと考えるようになりました」