飼い主夫妻が離婚、ぼくはどうなるの?行き場を失ったマルチーズ 「もう一度幸せになろうね」保護団体スタッフは語り掛けた

松田 義人 松田 義人

愛知・三重といった東海エリアを中心に行き場を失った動物の保護活動を行う団体・一般社団法人SORA小さな命を救う会(以下、SORA)。同団体に2023年6月、ある相談が寄せられました。

「夫婦で暮らしていたが、離婚することになりペットを飼育し続けるのが難しくなり、保護してほしい」というもの。大好きだったであろうお父さん、お母さんと離れ離れになることになったワンコを「もう一度幸せにしたい」とSORAのスタッフは決意。その相談を引き受けることにしました。

「どうして一緒にいられないの?」

SORAで引き取ることにしたワンコは、マルチーズのまことくん。推定年齢8歳くらいのオスです。真っ白で柔らかい毛に、真っ黒でまんまるの目が特徴のかわいいワンコです。

離婚することになった元飼い主の夫婦は、まことくんをどちらかが引き取ることも当初は考えていたと言います。しかし、現実的には双方ともに新しい生活を踏み出すことで「飼い続けることは困難」と判断したとのこと。

SORAのスタッフが引き取りに行った際、当のまことくんは「どうしてパパとママと一緒にいられないの?」と悲しむ表情を浮かべていました。スタッフはそんなまことくんに対し「大丈夫。これから、ずっと一緒にいてくれる家族を見つけて、幸せになろうね」と優しく語りかけていました。

いくつかの持病があった

果たしてSORAの施設へと連れてきたまことくんでしたが、保護当初から血尿、頻尿、そして咳の症状が見られました。スタッフは動物病院で獣医師に検査してもらうことにしました。その診断結果は膀胱炎、僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)、精巣・前立腺肥大など、複数の疾患があることがわかりました。

ワンコの精巣・前立腺肥大は去勢手術を行うことにより完治するケースがほとんどです。しかし、高齢であったり心臓病を患っている場合は体への負担が大きいため、手術ができない場合があります。まことくんの場合は、僧帽弁閉鎖不全症の影響で中等度の心雑音があり心臓に負担がかかっている状態でした。

今すぐにでも外科治療を行いたいところですが、無理に手術をしてしまうと命を落としかねません。スタッフは獣医師と話し合い、まことくんの体の状態を考慮していったんは手術を見送り、しばらく経過観察をすることにしました。

少しずつ甘えるしぐさも

しばらくの間、がんばって薬を飲み、治療を続けたまことくんは、その努力の甲斐あって後に症状が落ち着き、問題なく日常生活を過ごせるようになりました。今後も定期的な通院・検診は必要ですが、重篤な状態にならずにまずは良かったです。ホッと胸を撫で下ろすスタッフでした。

SORAの施設に来た当初は、このような健康問題だけでなく、環境が変わったことからくる不安から、不安そうな表情でした。

しかし、スタッフからのたっぷりの愛情を受け、環境に慣れ、本来の自分を出せるようになりました。SORAのスタッフは「まことくんの様子は、まだまだぎこちないですが、少しずつ甘えるしぐさも見せてくれるようになりました。その様子がとてもかわいくて、愛おしいです」と語ってくれました。

再び幸せな日が訪れますように

他のワンコから「遊ぼうよ!」とグイグイ来られるのがちょっと苦手という控えめな性格ですが、日々の治療を続けながら再び温かい家庭で過ごせることを目指し、今日もSORAの施設で過ごしています。

今後も治療を続ける必要があり、さらにそろそろシニア期にも突入しつつあるため、若いワンコに比べれば慎重な健康管理が欠かせません。元飼い主との別れを経験し、持病があるまことくん。これまでに辛い思いをしてきた分、近い将来その性格と病気を理解し、思いっきり甘えさせてくれる里親さんとの縁があることを祈るばかりです。

一般社団法人SORA小さな命を救う会
https://sora-chiisana.org/
SORA小さな命を救う会・インスタグラム
https://instagram.com/sora_save.dogs?igshid=OGQ5ZDc2ODk2ZA==

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