団塊のスター、76歳が歌う現在進行形の反戦歌「花は何処へ」  ザ・タイガース瞳みのるが反戦と平和を歌い続ける理由

中将 タカノリ 中将 タカノリ

ザ・タイガース瞳みのるが6月25日、シングル「花は何処へ」をリリースした。76歳を迎えてなお毎年欠かさず新曲リリース、ライブツアーを続ける瞳。私生活では2019年、72歳の時に父となり絶賛育児中のイクメンでもある。そんなパワフルな瞳の新曲は、世に反戦の機運が満ちていた1968年にザ・タイガースがリリースしたコンセプトアルバム「ヒューマン・ルネッサンス」の続編なのだという。団塊のスターは今どんな思いで創作に向き合っているのだろうか。

ーー「花は何処へ」に込められた思いをお聞かせください。

瞳:これはずばりロシアのウクライナ侵攻に向けて作った曲です。カップリングの「姿現せ」「暁と闇」も含め全部そうです。今、戦争に巻き込まれている人たち、占領下で心細い生活を送っている人たちのためにエールを送りたいと思いました。

ーー「ヒューマン・ルネッサンス」も当時の反戦カルチャーのシンボル的存在でした。やはり瞳さんの反戦、平和への思いは強いのでしょうか。

瞳:そうですね。僕たち団塊の世代は、まだまだ戦争の爪痕が残る時代に育ちました。「忘れかけた子守唄」のように戦争で子供を亡くした母親の歌なんていうのは非常に身近なテーマなんです。それに当時はベトナム戦争がありましたね。外国のこととは言え、何年も悲惨な状況が続いていることに多くの若者が「自分にできることはないか」と自問していたと思います。最近、沢田研二も反戦歌を歌っているけど、僕も同じように今でも反戦、平和への思いを持ち続けている一人です。

ーー先日、元ちとせさんが歌う反戦歌「死んだ女の子」が公開され話題になりました。こちらは広島の原爆がテーマといういうことですが、こういう曲が話題になるというのはそれだけ近年、反戦歌というものの存在感が小さいからではないかと感じました。

瞳:ないことはないんだろうけど、あまり表立って話題にならないですよね。若い人たちに平和というテーマが響いていないのであればそれは残念なことだし、60年代から70年代にかけてあれだけ反戦歌を歌ってきた我々の世代のミュージシャンがほとんど動いてないことも残念に思います。昔の曲をラジオで流してもらったりくらいはしてるようですが、「なぜ新曲で今の思いを歌わないんだ?」と。

◇ ◇

ウクライナのみならず日本周辺でもいつどんな動乱が起こるかしれないこの頃。平和を維持するにはさまざまな取り組みが必要だが、戦争を起こしてはならないという思いはそれらを実行するにあたって最も大切な心がけだ。今こそ日本に、世界に現在進行形の反戦歌が流行することを期待したい。

『瞳みのる(ひとみ みのる)』プロフィール
1946年9月22日生まれ。京都市出身。1967年、ザ・タイガースのドラマーとしてデビュー。1971年のグループ解散後は芸能界から引退し、大学進学を経て教職へ。慶應高校で教鞭をとる傍ら、中国文学を研究し、数々の文化事業に携わる。2011年、芸能活動を再開。精力的な音楽活動、著作活動を展開している。
公式サイト:https://www.hitomiminoru.com/
「花は何処へ」商品ページ:(リンク
瞳みのる&His Friendsライブツアー「長い髪の君だけに愛の国へ」:(リンク

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