目が合うだけでお漏らしする臆病な保護犬 「その分、伸びしろが多いはず」とスタッフが奮起 ネコとも仲良しの甘えん坊ワンコに変身

松田 義人 松田 義人

2022年10月。北海道の滝上町で、まだ生まれて間もない子犬たちが保護されました。餌付けされた半野犬の母犬から産まれた子犬たちで、そのうちの1頭が「ロイズ」というメスのワンコです。一緒に保護されたきょうだいの中でももっとも体が小さく、一番のビビリのワンコでした。

人馴れに時間がかかりそうだが、それだけ伸びしろが多いとも言える

保護したのは北海道を拠点に動物の保護活動を行う、認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会(以下、しっぽの会)。

一緒に保護した他のワンコ同様、スタッフがロイズの体に触れようとすると、あまりの恐怖からかとにかく嫌がり、ときに「ウーッ」と威嚇することがありました。さらにはある日スタッフがケージを掃除しようとした際、ロイズと目が合うと、それだけでロイズはオシッコを漏らしてしまいました。

ここまでの経緯から「ロイズが人間に慣れるまで相当時間がかかりそうだ」と覚悟したスタッフたちでしたが、あるスタッフの発した「それだけロイズは伸びしろが高いってことですね」の一言に一同奮起。それを合い言葉のようにし、ロイズの人馴れトレーニングをスタートさせることにしました。

滝上町のワンコたちに根付く「強い警戒心」のDNA

「ロイズの強い警戒心はDNAに組み込まれたものかもしれません」とスタッフは話します。

ロイズの母親は、餌付けされた半野犬でした。滝上町の山中ではこの母犬のような半野犬が繁殖し続けており、しっぽの会では2020年から熱心に保護を続けています。これまでにしっぽの会が保護してきた滝上町出身のワンコたちに共通するのは「過度なほどの臆病さと警戒心」。それは、厳しい環境の中を生き抜くために受け継がれてきた習性なのではないかとスタッフは感じていました。

散歩だけは時間がかかるが、それ以外は大きく成長

しっぽの会で数カ月を過ごし、少しずつ人との関わり方を学んだロイズ。あのスタッフの「ロイズは伸びしろが高い」の言葉通り、スタッフと目が合うだけでお漏らししていた頃と比べ大きな成長を見せてくれました。

スタッフの顔を見れば尻尾をブンブン振り撒き喜んでくれ、抱っこも嫌がらずにさせてくれるようになりました。さらには猫とも仲良く過ごすことができるようになり、このロイズの順応性と賢さにスタッフは驚かれました。

散歩だけは「楽しむ」というところまでは、もう少し時間はかかりそうですが、当初に比べれば上手に歩くことができています。きょうだいの中でも突出して努力を重ねてきたロイズのがんばりに、スタッフは目を細めてこう言います。

「気は小さいけど、芯の強さも感じる女の子です。根からの臆病さは今後も変わらないと思いますが、時間をかけて信頼関係を築いてもらえる家族には、心を開いてくれるはずです」 

認定特定非営利活動法人HOKKAIDOしっぽの会
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