親が亡くなったら…死後の事務・相続手続き、やるべきことが多すぎる! 事前に把握しておきたいポイントは? 専門家に聞いた

渡辺 晴子 渡辺 晴子

親が亡くなったらどうすればいいのか…そんな不安を抱えていませんか? 特に高齢の親を持つ方々にとって深刻な問題です。葬式の手配をはじめ、死後の事務・相続の手続きなど遺された家族にはやらなければならないことがたくさんあります。また手続きや届け出る場所、いつまでに何をやるべきなのか。事前に把握しておきたいポイントとは? そんな疑問を行政手続きのエキスパートで行政書士の黒川真理子さん(@kuromari.adviser)に聞きました。

公共料金やサブスクなどの解約時 死亡診断書のコピー提出を求められることも

Q.まず親が亡くなってからの1週間(7日間)以内にやるべきことを教えてください。

A.「1週間以内にやるべきことは、死亡届と火葬許可申請書の提出(役所)葬儀の手配(葬儀社)埋葬許可証の受け取り(火葬場)など。親が死亡したときは、まず病院の医師などに死亡診断書(事故などの場合は、死体検案書)を受け取りますが、死亡届と同じ用紙のため死亡届を役所に出してしまうと原本が手元に残りません。なので、この後にいろいろな手続きで必要となってくることから何枚かコピーをしておくことがポイントです。また親が会社勤めをしていたのであれば死亡後速やかに死亡退職届を、個人事業主であったら廃業届を税務署に提出してください」

Q.続いて、2週間(14日間)以内にやるべきことは何でしょうか。

A.年金受給の停止(年金事務所)健康保険・介護保険資格喪失届の提出(役所など)亡くなった親が世帯主の場合は世帯主変更届の提出(役所)などになります。年金受給に関しては、停止を申し出ないで年金をそのまま受け取ることは犯罪になるので速やかに手続きを。また公的年金は死亡した月の分までもらうことができるので、5年以内に未支給年金の請求手続きを行って未支給分を受け取りましょう。

健康保険(国民健康保険、後期高齢者医療制度)については、資格喪失の手続きをし健康保険証を返却。介護保険についても健康保険と同じように資格喪失の手続きをして介護保険被保険者証を返します。保険関連は放っておくと、そのまま保険料を払い続けることになるので要注意です」

Q.このほか、葬儀が終わった後に速やかに行った方がよい手続きなどは?

A.「必要に応じてになりますが、電気・ガス・水道・固定、携帯電話・NHKなどの名義変更や解約の手続き(各事業者)クレジットカードの解約手続き(カード会社)死亡保険金の請求手続き(保険会社)などが挙げられます。特に忘れがちなのが、通販の定期購入していた商品などサブスク(サブスクリプション)の解約手続きです。解約しないと、ずっと送られてきて支払いも続いてしまいます。また各種解約する場合、死亡の事実を確認するために死亡診断書などのコピーの提出を求められることがあります。

このほか比較的早めに手続きを行ってほしいのが、固定資産税や住民税など請求先変更の手続き(法務局、税務署など)インターネットサービスやSNSなどの名義変更・解約手続き(通信サービス事業者)運転免許証・パスポート・マイナンバーカードの返却(警察、パスポートセンター、役所など)所得税の準確定申告・納付(税務署)などがあります。ただマイナンバーカードについては、相続手続きで必要になる場合もあるので手続きが終わるまで保管しておきましょう」

親の借金などマイナス財産の相続放棄・限定承認の申し立て期限は3カ月以内

Q.遺産の相続手続きについて、教えてください。

A.「まず誰が相続人になるか、相続財産はどのようなものがあるかを調査をします。遺言書があるのであれば、遺言書の検認(家庭裁判所)を行って遺言書をもとに相続。遺言書がない場合には相続人と遺産について話し合った後、遺産分割協議書を作成し相続の手続きを行います。この時、それぞれ相続した人が銀行口座の名義変更・解約(銀行)株式の名義変更(証券会社)不動産の名義変更・登記(法務局)などの手続きを進めてください。そして、相続後は相続税の申告・納付を必ず行いましょう。

このほか、相続人の確定やその後の遺産相続手続きでは2種類(※)の戸籍謄本が必要となるので準備を。また相続人が相続財産から亡くなった親のマイナスの財産(借金など)を相続放棄あるいは限定承認(※※)の申し立て(家庭裁判所)をする場合は、3カ月以内に申し立てをしなければ無効になるので注意してください」
亡くなった親の出生から死亡まで連続した戸籍謄本と相続人全員の現在の戸籍謄本)
※※マイナス財産を清算して、財産が余ればそれを引き継ぐという方法)

Q.前出以外の手続きで、行政などに請求できるお金はありますか?

A.「亡くなった親が国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた場合は葬祭費(役所)、亡くなった親が勤務先の健康保険に加入していた場合は埋葬料(勤務先など)がもらえます。このほか、亡くなった親の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その超過分である高額医療費の払い戻しを請求(役所など)できます。いずれも期限が2年以内になりますので、条件が合えば忘れずに請求しましょう」

   ◇  ◇

先日、SNSでも親が亡くなってしまった後の手続きを紹介する投稿が話題になりました。投稿したのは「ノウリ|逆境のランダムウォーカー」さん(@4ButterflyWorld)。リプライには「手続きがめちゃくちゃ多くてビビりました…」「想像はしたくないですが、現実から逃げて準備を怠ってはいけませんね」「いつかは来ることなのでしっかり知っておきたいですね」などとコメントが多数寄せられています。

ノウリさんは「親が亡くなることを私含め、誰しも考えたくないがためにこの手の話を避けがちだと思ってます。いつまでも元気でいて欲しいので亡くなったときのことを話したくはないけど、やはり親が生きているうちにある程度話をしておくと、いざとなったときに困ることや大変なことが減ると思いますね。特に今はオンラインで完結しているものの、サブスクなど無形の支払いなどもあるので、クレカを持っているか、保険に入ってるかなどもの情報は確認しておいた方が良いと思ってます」と話してくれました。

【黒川真理子】
ありすEP行政書士オフィス代表。ゼロ起業アドバイザー・行政書士。資金・実績・経験ゼロからの起業・複業を全力サポート。派遣社員として100社以上で勤務からの起業した経験を持つ。起業へのステップを寄り添ってサポートし、面倒な行政手続きもわかりやすく解説している。

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