傘やコーンで応援!「ツバメに優しい」ショッピングモールから今年もヒナ巣立つ 日本野鳥の会から2年連続感謝状も

渡辺 陽 渡辺 陽

日本野鳥の会が感謝状を贈呈

ここを通りかかる人たちが見守ってきたツバメですが、せんちゅうパルの関係者も傘を取り付けたり、コーンを設置したりして、ツバメを応援してきました。日本野鳥の会では、ツバメを見守っている団体や企業に、毎年感謝状を贈呈しているのですが、せんちゅうパルもそのひとつ。2022年から2年連続で表彰されたそうです。

日本野鳥の会の普及室でツバメの子育て応援事業を担当している井上さんにもお話を聞きました。

ーー傘を逆向きに差しかけるのには意味があるのですか。

「傘をかける理由は、主にふたつあると思われます。ひとつは、フン受けとしての役割です。ツバメのフンを巣の下に落とすため、どうしても掃除や、ツバメに注意する呼びかけが必要になってきます。傘を設置することで、利用するお客様にフンがかかる心配も減り、子育てが終わり次第、傘を撤去すればよいので掃除も楽になります。もう一つは、ツバメの巣の保護です。ツバメの主な天敵にカラスがいます。カラスは下から蹴り上げるようにしてツバメの巣を襲うため、巣の下に傘を設置することでカラスから巣を守ることができます」

ーー近年はツバメが減少しているそうですね。

「理由はふたつ。まずひとつは、里山の自然や農耕地の減少です。身近だった里山の自然が宅地化などで減り、農業の衰退により水田や耕作地が減少し、ツバメのエサとなる虫が少なくなっていることが考えられます。エサの減少は、子育ての成功率にも影響します。また、西洋風家屋の増加も影響しています。ツバメは民家の軒先などに巣を作りますが、最近の西洋風家屋では軒のないものや、壁面が加工されて巣が作りにくいものもあるようです。巣を作る環境が減ってしまい、その結果、繁殖が困難になりました」

ーー私たちにできることはありますか。

「ツバメは天敵から身を守るために、あえて人の近くを選んで子育てを行っています。しかし、フン害や衛生面を理由に、巣が撤去されてしまう事例も報告されています。傘の設置のように、少し工夫することでツバメと人が共生することができます。ツバメも、営巣場所探しやエサ不足など、さまざまな困難の中で子育てを行っていますので、ツバメの巣を見つけた際には、温かく見守っていただければと思います」

今年は、14道県27の団体が日本野鳥の会から表彰されたそうです。環境省の調査では、フン問題で悩む商店も多いそうですが、来年、ツバメが飛来してきたら、ぜひ傘を差しかけてあげてください。

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