新幹線車内で高齢女性3人が交わしたある約束がネット上で大きな話題になっています。それは「決して破ってはいけない旅のオキテ」。近くの席で偶然耳にした乗客が自身のツイッターに投稿したところ、一連の投稿には39万を超えるいいねがつきました。大勢の心を引きつけた旅の掟とはーー。
「人の悪口は盛り上がるものですが…」
福岡県北九州市小倉北区でマジックバーを経営する「まんぼう」さんは7月18日の夕方、新幹線の新山口駅から小倉駅までこだまの自由席に乗車しました。連休で帰省していた山口県から福岡県内の自宅に帰宅するためです。
後方の座席では、旅の帰路らしい70代ぐらいの女性3人組が会話に夢中でした。「面白すぎる」。その内容に心を動かされたまんぼうさんは、自身のツイッター(@manboo96)に投稿しました。
「新幹線で後ろにいたおばあ3人組の会話がおもしろすぎた。内容からすると定期的に3人で旅行をしている感じ。そして、決して破ってはいけないオキテが2つあるようだ。1つ目は『人の悪口禁止』2つ目は『旅行の3日前から当日までは死ぬの禁止』キャンセル料が発生するかららしい」(まんぼうさんツイッターから引用)
投稿したまんぼうさんに話を聞きました。
──「悪口禁止」は心に響きますね。
「『悪口を言わない』といういうのは素敵だと思いました。ツイッターの仕様上、文字数が限定されているので要約しましたが、実際の会話では、その中の1人が悪口とまでは言わないですが、ちょっとネガティブな話を始めたんです。そしたら『楽しい旅行中にそんな話はやめよう』と1人が言い出し、『そうね、悪口は禁止にしよう』と3人ともが違う話題に変え、そこからまた楽しそうな会話をしていました。人の悪口は盛り上がるものですが、それなしで楽しめる関係にうらやましくも思いました」
──投稿が注目されています。
「交通事故を起こしたり、老害という言葉が出てきたりと、高齢者に対してネガティブな話題が多い中、ちょっとほほえましいエピソードで心が明るくなったのではないかと思います。『おばあちゃんかわいい』『このようになりたい』というようなコメントが多かったのを見ると、誰もが将来に不安を感じているとともに、楽しく過ごせる世の中への期待もあるのだと思います」
「宿は早めに決める」理由は?
投稿には続きがあります。「数年に一度旅行をしているらしく、次は3年後くらいを予定しているらしい。次にどこに行くかを話し合っている中、『宿は早めに決めておこう』とひとりが言い出した。『え?それはまだ早いやろ』と他のおばあが言うと、『死んだ時に宿がわかってないと化けて出られん』と言い出した。仲いいな」(まんぼうさんツイッターから引用)
──3年後の約束もいいですね。
「正直に言いますと、席に着いてすぐは『後ろの人たちの声大きいな』と感じ、どうやっても会話が丸聞こえの状態であまりいい印象はありませんでした。ですが、楽しそうな雰囲気と話の内容がなかなかおもしろいので不快さはすぐになくなり、むしろ心の中で会話に参加していました。『化けて出られん』に対しては『成仏できんかったんかーい』とか、『直接現地行かんで出発から化けとけー』と心の中でツッコミを入れている自分がいました」
──まんぼうさんご自身も感じるところが。
「自分が同じ年齢になった時に同じことができるのか、経済的、精神的な余裕があるのか、正直不安しかありませんが、将来こういうふうになりたいという目標ができました」
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2つの投稿を読んだユーザーからは「こういうのあこがれる」「死なないのは重要」「こんな素敵な仲間が欲しい」「こんなおばあちゃんになりたい」「友達、健康、経済力は大切」「これ読んで元気出ました」などの反応が寄せられています。