夏の到来を告げる祇園祭が今月から京都で始まり、各地でお祭りが開催される季節になりました。そこで、全国の20~60歳の男女800人(性年代均等割付)に、「祭り」に対する意識調査を実施したところ、約7割の人が「祭りはなくなってはいけないものだと思う」と回答しました。これを地域別でみると、「九州・沖縄地方」では9割近くに上ることが分かりました。
一般社団法人マツリズム(東京都文京区)が、2023年6月にインターネットで実施した調査です。
調査の結果、74%の人が「祭りはなくなってはいけないものだと思う」(そう思う:27%・ややそう思う:47%)と回答し、コロナ禍での2021年調査時よりも3.0%増加していることが分かりました。
これを地域別でみると、特に「中国・四国地方」「九州・沖縄地方」での意識が高く、「中国・四国地方」では77.0%、「九州・沖縄地方」では実に86.3%と9割近くが「祭りの必要性を感じている」ことが明らかになりました。一方、「祭りの必要性を感じていない」割合が最も多かった地域は「北海道・東北地方」で約3割(29.2%)となっています。
さらに、「祭りの再開」については、66.4%の人が「賛成」(賛成+どちらかと言うと賛成の計)と回答しました。
また、69.2%と約7割の人が「子どもに祭りに参加してほしい」(そう思う+ややそう思うの計)と回答。「子どもに祭りに参加してほしい」と答えた人に「子供に参加してほしい理由」を複数回答で答えてもらったところ、「地域の伝統や日本の文化を体験してほしいから」(66.5%)、「子ども自身の楽しみや体験学習の場になるから」(54.6%)、「他の地域の子どもたちとの交流が深まるから」(46.5%)といった回答が上位に挙げられました。
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次に、「コロナ禍で外出自粛期間を経て、祭りへの参加意欲はどのようになりましたか」と聞いたところ、64.4%の人が「参加したくない」と回答。2021年調査時との比較では、「参加したい」と答えた割合が低下している一方で、「参加したくない」と答えた割合は12.3%増加するなど、祭りへの参加意欲低下が見られました。
また、年代別の割合では20~30代において、「コロナ以前より参加したいと思う」が約20%と比較的参加意欲を維持できている傾向が見られるものの、40代では23.8%が「コロナ以前より参加したくない」と回答しています。
さらに、「コロナ明けの祭りに関して、最も懸念していること」については、「感染リスクがまだ残っている」(32.0%)、「人混みに慣れていないため不安」(16.4%)、「祭りの規模縮小や質の低下」(6.4%)などが挙げられ、コロナ明けの祭りに関して感染リスクの懸念が消えない結果となりました。
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ここまで祭りの必要性やコロナ前後での参加意識についてみてきましたが、「性別や地域に参加が限定される祭りの形式」についてはどのような意識をもっているのでしょうか。
この質問に関して、「昔からの伝統であり、そのまま尊重すべきだと思う」が38.6%であったのに対して、「その趣旨や歴史背景などへの理解は必要だが、可能な限り改善すべきだと思う」という回答が49.0%となりました。
年代別では「そのまま尊重すべき」と答えた割合は、「50代以上」は平均49.7%、「40代以下」は平均31.2%となり、祭りの伝統や形式に対する意識には世代間の差が見られました。
また、神輿について「人力で担ぐ伝統」と「労力を減らすためにトラックで運ぶという新しいアイデア」では、「人力で担ぐ伝統を守るべきだと思う」という回答が33.1 %、「労力を減らすためにトラックで運ぶ方が良いと思う」という回答が11.3%という結果となりました。
年代別で比較すると、「人力で担ぐ伝統を守るべき」と答えた割合は「20代」では21.3%、「60代」では44.4%と年代が上がるにつれて人力派が多くなっていたのに対して、「労力を減らすためトラックで運ぶ方が良い」と答えた割合では、「20代」は19.4%、「60代」は5.0%となり、年代が低い方がトラック派が多くなるなど意識の差が見られました。
最後に、「祭りの形式が変わることで祭りの神聖さや伝統が失われると感じますか」と聞いたところ、「伝統が失われると感じる」と答えた人は45.2%、「失われるとは感じない」と答えた人は54.9%という結果となりました。
年代別でみると、「伝統が失われると感じる」と答えた割合は、「20代」の38.8%に対し、「60代」では52.6%となり、祭りの変化に対する意識においても年代で差がみられたそうです。