民家の庭に現れた親子猫
定春くん(2歳・オス)は、2021年10月12日、東京都でネスタ猫の会という保護団体に保護された。親子猫が庭に来るようになったと保護団体の人に相談があり、TNRされる予定だったという。
「人馴れしているわけではなかったそうですが、『まだ若い兄妹猫は、これから先の猫生が長いのでできたら里親を見つけて欲しい』と、発見した人がおっしゃったので、保護されたそうです」
東京都に住むSさんは、高校卒業くらいの頃から実家で譲渡してもらった保護猫を1匹飼っていた。その後、実家の庭で生まれた野良猫も保護して飼っていたので、実家には全部で3匹の猫がいたという。自立して社会人になり、落ち着いたら猫を飼いたいと思っていたそうだ。
2匹一緒にもらって欲しい
やがて結婚したSさんは、猫を飼おうと思いネットで検索した。どの子でもよかったという。
「強いて言えば、定春くんの妹に当たるエリザベスが実家の猫に似ていて、同じサビ猫だったので、まずはエリザベスに会いたいと尋ねてみた。プロフィールにも人懐っこい猫だと書いてありました」
ところが、担当者が、
「兄の定春くんも一緒に飼ってくれる人を探しています。すみません」と断られてしまった。定春くんは極度にシャイな性格で、人に慣れるのになかなか時間がかかるようだった。
Sさんは、定春くんのプロフィールを早速確認した。怯えるようにケージの隅で縮こまっている写真が掲載されていて、「これは打ち解けるのにかなりの時間がかかる子だな」と直感したそうだ。
「同時に、そんな子こそ迎え入れ、ゆっくり時間をかけて打ち解けていきたいと思いました。そこで、まずは会いに行ってみることにしました」
妹を守るように覆い被さっていた猫
2021年11月、定春くんに会いに行くと、まるで石のように固まっていて、少し触った感触も「かたっ」という感じだった。目も合わさず遠くの一点を見つめ、存在を消そうと石になった猫。Sさんは、定春くんとエリザベスちゃんを一緒に迎えることにした。
翌年の1月、2匹はSさんのところにやってきた。
「2匹揃って身を寄せ合い、気配を消すようにケージの隅で固まり、ほぼ丸一日そこから微動だにしませんでした。ごはんも食べず、おやつにも全く見向きもせず時間だけが過ぎていきました。でも、定春はエリザベスに覆い被さり、まるで妹を守るように固まっていて、私は思わず涙が出そうになりました」
夫婦揃ってアニメが好きなので、好きなアニメに出てくるペットの名前をそれぞれつけたという。
超ビビりが甘えん坊に
超ビビりな兄妹だったが、今ではすっかり甘えん坊に。毎朝、膝の上に乗って、10分ほどなでなでしないとひたすら鳴き続ける。
「声枯れるよ?というくらい鳴いています。定春にとって、モーニングルーティンのようです(笑)。私がお風呂に入っていても扉の前で座って待っていますし、私の行くところ、行くところについてきてまるでストーカーのようです(笑)」
ただ、宅配便の人や他人が来ると、自衛隊ばりのほふく前進で逃げていく。
「その様子がなんとも愛らしいです(笑)。そのままソファーの下で寝落ちしていることもよくあります」
Sさん夫妻は、「アニマルセラピーとはこのことか!」と思うくらい、毎日心を癒されている。
「もう2匹がいない生活には戻れないくらい。飼い主の方が依存していると思います。かけがえのない日々です」
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