路線距離わずか2.2キロ 地味なワンマン2両編成 キャラ濃いめの近鉄・道明寺線は近鉄最古の路線だった

新田 浩之 新田 浩之

近鉄はJR各社を除き路線距離が長い鉄道会社です。数多くの路線を有していますが、難波線に次いで路線距離が短い鉄道線が道明寺線です。道明寺線の路線距離は2.2キロですが、短路線らしからぬ、なかなかキャラの濃い路線です。

道明寺駅を出発後、わずか4分で…

道明寺線は道明寺駅と柏原駅を結び、中間に柏原南口駅があります。道明寺駅で近鉄南大阪線、柏原駅でJR大和路線(関西本線)に接続します。

休日の午前中に道明寺駅から柏原行きに乗ってみました。昼間時間帯の運行本数は1時間あたり上下各2本です。1990年代は各4本だったので、少々寂しい現状です。

 

南大阪線に遠慮するかのように、2両編成の道明寺行きワンマン列車が停車していました。道明寺線に限らず、近年の近鉄の支線区はワンマン運転が主流となっています。

道明寺線は単線で、2両編成の電車が線内を往復します。大和川を渡ると、柏原南口駅に到着します。同駅から約400m先には近鉄大阪線安堂駅があります。

道明寺駅を出発後、わずか4分で柏原駅に着きました。柏原駅から近鉄大阪線堅下駅へは徒歩10分以下の道のり。道明寺線を経由して、南大阪線~大阪線間の乗り継ぎに使えます。

柏原駅は近鉄の単独駅ではなく、JR西日本との共同使用駅です。しかし、駅の業務を担当しているのはJRであり、近鉄道明寺線・道明寺行きは駅構内の片隅から申し訳なさそうに出発します。

 

近鉄道明寺線~JR大和路線間を交通系ICカードで乗り換える際はホーム上にある近鉄入出場改札機にタッチします。後は駅の改札機を通ることなく、そのまま近鉄・JRの電車に乗り換えればいいだけです。

かつては柏原駅のように大手私鉄~JR間で中間改札機を通ることなく、ホーム上で乗換え可能な共同使用駅が数多く存在しました。関東ではJR中央線・西武多摩川線の武蔵境駅が挙げられ、2004年までホーム上で乗り換えができました。

近鉄最古参の路線は道明寺線だった?

実は近鉄で最も古い路線は道明寺線です。道明寺線は河陽鉄道により、1898年に柏原~道明寺~古市間が開通したのがはじまりです。開通当初は蒸気機関車による運行で、電車運転が始まったのは1924年のことです。

建設の目的は関西本線と高野鉄道(現南海)河内長野駅を結ぶためでした。また、河陽鉄道は関西本線と貨車の直通運転を行うため、線路幅は狭軌1067mmを採用したのです。

近鉄において道明寺線を含む南大阪線・吉野線系統の路線の線路幅は狭軌1067mmです。一方、他線は標準軌1435mmです。つまり、河陽鉄道が関西本線との関係を重視したことにより、現在も近鉄線に狭軌1067mm路線が存在する、というわけです。

その後、1923年に大阪鉄道により道明寺~大阪天王寺(現大阪阿部野橋駅)間が開通したことで、道明寺~柏原間は支線に降格。1943年に大阪鉄道は近鉄の前身にあたる関西急行電鉄に合併され、道明寺~柏原間は「道明寺線」になりました。

直近の話題としては、2018年には柏原市の市制施行60周年を記念し、通常は絶対に入らない特急車両が入線したことが挙げられます。JR線の乗りつぶし旅の際に、ちょっと道明寺線に寄り道してはいかがでしょうか。

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