近鉄は4月1日に運賃改定に踏み切ります。そこで気になるのがけいはんな線(長田~学研奈良登美ヶ丘)の運賃です。もともと、けいはんな線は他の近鉄線よりも運賃が高い状況でした。4月1日以降はどうなるのでしょうか。
加算運賃が設定されている、けいはんな線
けいはんな線は大阪府東大阪市の長田駅と奈良県奈良市の学研奈良登美ヶ丘駅を結ぶ全長18.8キロの路線です。長田駅からは大阪メトロ中央線・コスモスクエア駅まで乗り入れます。途中駅の生駒駅で奈良線、生駒線に接続します。
けいはんな線は「東大阪線」として1986年に長田~生駒駅間で開業したのがはじまりです。2006年に生駒~学研奈良登美ヶ丘駅間が開業し、線名も「けいはんな線」となりました。
けいはんな線は建設費をまかなうために、開業時から加算運賃が設定されています。加算運賃はキロ程1~3キロが40円、7~10キロが70円、19キロが130円です。
加算運賃自体は何も珍しくありません。たとえば2009年に開業した阪神なんば線(尼崎~大阪難波)一部区間でも加算運賃が設定されています。加算運賃は建設費用などの費用が回収された時点で終了となります。と言っても、けいはんな線生駒~長田間でも回収率は約25%なので、「まだまだ」といった感じです。
初乗り運賃は…あの関東私鉄よりも高くなる?
2023年1月現在、けいはんな線の運賃(キロ程)は長田~荒本駅間(1~3キロ)が200円、生駒~学研奈良登美ヶ丘駅間(7~10キロ)が330円、長田~生駒駅間(11~14キロ)が390円、長田~学研奈良登美ヶ丘駅間(19~22キロ)が540円です。
4月1日の運賃改定後は長田~荒本駅間(1~3キロ)が220円、生駒~学研奈良登美ヶ丘駅間(7~10キロ)が370円、長田~生駒駅間(11~14キロ)が450円、長田~学研奈良登美ヶ丘駅間(19~22キロ)が620円になります。
「ずいぶん高くなるなあ」という印象ですが、それでは関東私鉄と比較すると、どの程度なのでしょうか。まず長年にわたり「日本一運賃が高い鉄道」と言われるほど、高運賃で有名な北総鉄道(京成高砂~印旛日本医大)です。2022年10月に念願の値下げに踏み切りました。
北総鉄道の運賃(切符)は京成高砂~新柴又駅間(1~3キロ)が190円、京成高砂~東松戸駅間(8~9キロ)が380円、京成高砂~新鎌ヶ谷駅間(12~14キロ)が480円、京成高砂~白井駅間(18~20キロ)が620円です。
次に同じく高額な運賃で知られる東葉高速鉄道(西船橋~東葉勝田台)です。運賃(切符)は西船橋~東海神駅間(1~3キロ)が210円、西船橋~北習志野駅間(8~9キロ)が440円、西船橋~八千代中央駅間(12~14キロ)が580円、西船橋~東葉勝田台駅間(15~17キロ)が640円です。
このように見ていくと、初乗り(1~3キロ)ではけいはんな線(220円)が最も高くなります。埼玉高速鉄道(赤羽岩淵~浦和美園)でも初乗り(1~3キロ)は210円です。けいはんな線の初乗り運賃は全国の公営地下鉄で最も高い京都市営地下鉄と同額に。一方、15キロ以遠は東葉高速鉄道がけいはんな線、北総鉄道をおさえてトップに躍り出ます。
けいはんな線が乗り入れる大阪メトロ中央線は2024年度に夢洲へ延長し、2025年に開催される大阪・関西万博のアクセス路線となります。多くの万博来訪者がけいはんな線を使用することが予想されます。その際に、同線の高額な運賃が来訪者に対してどのような印象を持たれるのか、気になるところです。願わくば万博会場への割引切符を望みたいところですが。