問題は「どう連れ帰れるか?」
ーー今回の救出は、出張中だったこともあり、多くの葛藤があったと思います。
「一度冷静になるためにホテルに戻り、気持ちを落ち着かせようと思いました。ただ、子猫だったまほろはケガをした足を引きずっており、やはり保護して東京に連れて帰ろうと決心しました。ただ、捕獲器も何もない状況で、どう連れて帰るかが問題でした。
実は昨年6月の博多出張の際も妊娠中の猫を見つけたんです。その際、いくつかの団体さんに連絡したところ、すぐに動いてもらえる方が見つからず、困っていた時に助けてくださった個人のボランティアさんがいらして、再びその方に連絡してみたところ、すぐに捕獲のお手伝いをしてくださることになりました」
「うちにも保護猫がいるんだよ」
ーーその後、動物病院から退院した2匹を連れて東京に戻られたんですね。
「飛行機の方が移動時間は短いのですが、気圧や離着陸の振動が心配だったため、新幹線で東京に戻りました。ご協力頂いた博多の個人ボランティアさんが駅まで見送りに来て下さいました。『絶対にこの子達を幸せにしますので』と約束して別れました。感謝の気持ちでいっぱいです。
2匹を足元に置きたかったので贅沢にグリーン車で戻りました。鳴いてご迷惑をかけるかもしれないので、周りの方に、『保護した猫2匹を連れて帰ります。もしかすると鳴き声でご迷惑をおかけしてしまうかもしれません』と声をかけさせて頂きました。すると、『大丈夫ですよ、気をつけて帰って下さいね』『うちにも保護猫がいるんだよ、保護してもらって良かったね』と、温かい言葉をたくさんかけて頂きました」
ーー2匹を保護した場所に貼った紙にも、温かい言葉が書き込まれていたそうですね。
「はい。貼り紙は掲示場所の許可をきちんと支配人さんに取っております。『心配しておりました』という書き込みを見て、2匹を見守って下さった方がいたんだなぁと、嬉しい気持ちになりました。また、貼り紙を通して多くの方からご連絡を頂き、たくさんの素敵な出会いもありました。『保護したい猫がいるけどどうしたらいいですか?』というご相談や、お住まいの地域で猫が増えてしまった現状を鑑みて、TNRを進めて下さった方もいらっしゃいます。もっともっと猫たちのTNRへの理解が進むと嬉しいです」