“ジェンダー後進国”の日本、海外移住者はどう見ている?「日本は便利だけど生きづらい」「政治家は年配の男性ばかり」

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株式会社ロコタビ(本社:東京都)は、同社が提供している海外在住日本人と海外を訪れる日本人をマッチングする「ロコタビ」に登録している海外在住日本人の中で、ジェンダーギャップ指数が高い国(アイスランド、アイルランド、スウェーデン、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、フィンランド)に住む女性を対象に意識調査を実施しました。

6月21日、世界経済フォーラム(WEF)が発表した最新版「ジェンダーギャップ・レポート」の男女平等度ランキングでは、日本は146カ国中125位。前年の116位から9つ順位を落とし、過去最低を記録しました。

WEFは政治・経済・教育・健康の4分野で男女差を分析。男女平等な状態を100%とした場合、世界全体の達成率は68.4%で、日本の達成率は総合で64.7%でした。分野別で見ると、政治分野は5.7%で世界138位。経済分野も56.1%で世界123位と低迷している現状が浮き彫りになりました。

今回の結果を受け、世界176カ国5万人以上の日本人が登録するロコタビは、2023年3月に実施した、ジェンダーギャップ指数ランキング上位の国に移り住んだ日本人女性を対象に実施した調査の中から、「日本のジェンダーギャップが低いことへの率直な意見」と「移住先で『女性として生きやすい』と感じる文化や制度」に関する結果をあらためて紹介しました。

ジェンダーギャップ指数の低さ、どう感じる?

ジェンダーギャップ指数上位国(アイスランド、アイルランド、スウェーデン、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、フィンランド)に住む日本人女性に、自由記述で「日本のジェンダーギャップ指数が低い事実に対して、想うことがあれば教えてください」と質問したところ、数多くの意見が寄せられました。以下は、その一部です。

 【移住者たちのコメント】(ロコタビ調べ)

・今70代の人たちが社会を牛耳っているから(彼らは男尊女卑思想から抜けられないから)ジェンダーギャップが低いのだと思います。日本ではなんで男は男であるだけであんなに偉いのだろう?(ドイツ在住/60代以上/フリー)

・まずは、男性があまり休みをとれず女性やパートナーと家事を共にすることができないこと。そして、同じ年代の男性でも女性に対して、女性はかわいくあるべき、メイクをするべき、など固定観念が強いと感じる。それは雑誌やメディアの女性に対するファッションやメイクが男性に対してかわいく思われることなどを中心に取り上げられていることが影響されていると思う。(アイルランド在住/30代/専業主婦)

・日本の伝統的な考え方が邪魔していると思う一方、それは日本の文化でもあり、例えば一家の大黒柱である夫(父)が、一番風呂に入り、彼の言うことが絶対である、と言うのは、私は賛成というか、嫌いではない。が、女の自由がなくなるのはおかしい。共存出来るのが一番だけど。(ドイツ在住/50代/観光)

・他の国よりは変化が遅いけれど、若い世代と話しているとジェンダーギャップが減っていっているのは感じます。(ドイツ在住/40代/観光)

・都市部の若い世代に関してはジェンダー思想の強い人は少なくなってきているように感じます。女性だけでなく、男性も「男らしさ」から解放され、個人を尊重できる社会になると良いなと感じます。(アイルランド/30代/学生)

・そもそも女性が平等を望んでいるのでしょうか? 未だに女性誌のモテ系や愛され系というタイトルを見ると、違和感を感じます。(フィンランド在住/50代/金融)

・例えばいい例が日本の政治。年配の男性ばかり。私は50歳ですが、ノルウェーはわたしより若い政治家ばかりです。そして女性がとても多いです。また子供の頃から、子どもたちは男子・女子の区別をされずに育っていてとても自然です。例えば幼稚園のトイレも男子・女子の区別はなく、男の子と女の子が隣同士座って用を足しています。また賃金の男女平等が徹底している事。日本は職種や役職によってはまだまだ男女格差があると思います。(ノルウェー在住/50代/医療福祉)

移住先で女性として生きやすいと感じるのは?

ジェンダーギャップ指数上位国に住む日本人女性に、自由記述で「移住先で『女性として生きやすい』と感じる制度や文化、または具体的なエピソードなどがあればぜひ教えてください」と質問したところ、こんな意見が寄せられました。一部を紹介します。

【移住者たちのコメント】(ロコタビ調べ)

・女性が組織のトップに立ったり、一国の首相になったりは当たり前の国なので、それがニュースになる日本とは雲泥の差です。職場でも女性だと言うことがマイナスに感じる事が皆無です。(ノルウェー在住/50代/医療福祉)

・“女性として”を意識することはほぼなくなり、人として物事を考えるのが普通になった。性別によっていろんな可能性が狭まれることがあってはいけないと感じています。(フィンランド在住/30代/医療福祉)

・具体的ではありませんが、“女性として”というのではなく、一人の人間として人間らしく生きやすいと感じます。日本は便利だけど生きづらい。スウェーデンは不便だけれど生きやすいと感じます。(スウェーデン在住/60代以上/教育・旅行)

・私はシングルマザーになってしまいましたが、片親だからと言って全く後ろめたい気持ちはありません。色んな福祉保障もあるので、子供たちにみじめな思いをさせたことはありません。(スウェーデン在住/40代/流通・小売)

・ここでは個人の意見が尊重されます。結婚はそれほど重要視されません。結婚後、私と夫の苗字が別々でも、籍を入れずに暮らしていても、子供に影響はなく男性も家事をします。共働きですから。出産後、男女共に産休を取り、保育所が確保されていて、子供の病欠でも給料の80%が支給されます。職業は自由に選べます。男の仕事、女の仕事という分け方はしません。子供の時から「女の子の色」とか「男の子の遊び」という分け方もしません。「男の子だから泣くな」ということもないです。オフィスで女性だけがお茶汲みする事はあり得ません。バスや地下鉄や電車が混んでいても、痴漢行為も聞いた事がありません。政治家も男女共に選ばれています。しかも若い世代です。“女だから”などと言っているのを聞いた事もないです。スウェーデンにも、まだまだ見直す点は多々ありますが、男女平等という点では、日本よりもかなり先に進んでいると思います。(スウェーデン在住/50代/教育)

・レディーファーストなのが気持ちいい。階段があるところでベビーカーを持って上がろうとすると、必ず誰かが手伝ってくれる。子育てに寛容なので、ベビーカーで公共交通機関を利用してもベビーカー優先という風潮があり、いつでも気楽に利用できる。子供がいても共働きは当たり前で、家事・育児の分担は平等に行う。実力社会なので男女という区別があまりない。友人が転職する際に日系の会社面接で「子供ができる予定がありますか?」と聞かれたエピソードがありますが、ドイツは男女が平等であることは、法律化された基本的権利です。同じ質問をドイツの会社でしたら裁判沙汰になります。(ドイツ在住/40代/デザイン職)

・専業主婦が職業として認識されている。専業主婦であっても保育園が利用できる。個々の事情が性差なく尊重される(ドイツ在住/40代/観光)

【調査概要】
調査期間:2023年3月16日-3月23日
回答者属性:日本人女性(ジェンダーギャップ指数上位国在住)
回答数:43名(アイスランド、アイルランド、スウェーデン、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、フィンランド)

調査主体:ロコタビ(https://locotabi.jp/

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