視覚に障害ある子らの支援教室がピンチ 市の補助金がゼロ、物価上昇が追い打ち

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 視覚障害や視覚の発達に不安がある子どもと保護者を支援する京都ライトハウス(京都市北区)の「視覚支援あいあい教室」が、運営難に直面している。市の補助金が段階的に減ってゼロになった上、電気代や物価の急騰で支出が増えた。同教室の古川千鶴所長は「補助がなくなったからといって教室の『質』を下げるわけにはいかない」と、広く市民の賛助金を募っている。

 あいあい教室は1976年に始まった通所サービスで、府内外から0~6歳の約40人が通う。音の出る遊具で遊んだり、布や厚紙でできた凹凸のある本を触って本の楽しさを体験したりするほか、着替えやトイレを一人でする訓練も行う。保護者に対しては交流・学習の場の提供や子育て相談を実施している。

 2012年に小学生向けの放課後等デイサービス機能を併設し、現在は高校生までを含む約60人が通う。古川所長によると、就学前から高校までの年齢の視覚障害者が同じ敷地でこうしたサービスを利用できるのは全国でも珍しいという。

 国の制度に基づき一定の利用料を徴収しているが、新型コロナウイルスの影響で20、21年度は休止日が続き、収入が激減した。あいあい教室の開設には府と市が協力した経緯もあって年約1600万円の補助金を市から得ていたが、他に通所施設が増え「公平性を保つため」として年々減額。21年度からはゼロになった。

 さらに、このところの物価上昇が追い打ちをかけた。経費節減のため、保護者や関係機関宛ての郵送物を電子メールやファクスに替えたり、電気をこまめに消したりしているが「焼け石に水」という。

 就学前の視覚障害児のための「教室」は全国的にも少なく、関西以外の保護者からもさまざまな悩み相談の電話があるという。古川所長は「視覚障害は早期発見、早期療育が重要。何とか運営を工夫して『あいあい教室』を続けたい」と話す。

 運営主体の社会福祉法人京都ライトハウスを支援する「京都ライトハウス後援会」の賛同者を募集している。賛助金は1口2千円から。問い合わせは京都ライトハウス075(462)4400。

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