友だちを家に呼んで遊びたいけど、妹がいるから…。ふとした時に将来の不安に駆られて、悲しくなる―。ツイッターなどSNSで「#きょうだい児」と検索すると、匿名で、誰にも言えない思いが吐露されています。兄や弟、姉や妹に障害者がいる人たち「きょうだい児」の声です。神戸新聞社が運営するネットメディア「まいどなニュース」でも、連載でいろんな人を取り上げました。届いたお便りの一部を紹介します。
寝たきりの弟がいる妻「私の気持ちがあなたに分かる訳ない」
妻にも寝たきりの弟がいました。ご両親に結婚のあいさつに行く数日前までそれを隠していました。妻の実家が遠方だった事もあって、兄弟がいることすら分からなかったし、聞いたところで気持ちは何も変わらなかったけど、「どうして黙っていたの」と言ってしまった。その時、言われたのが「私の気持ちがあなたに分かる訳ない」という言葉。苦しんできたんだろう。分かってやれないことは寂しかった。弟さんは結婚後しばらくして亡くなりました。妻はほとんど弟の話をしません。当事者じゃないと分かり得ない感情はあるんだろう。誰も悪くない。
兄が筋ジストロフィー、両親も介護「支えきれないと絶望した」
兄が、筋力が低下する「筋ジストロフィー」でした。母、父までアル中と脳卒中で介護が必要に。大事だけどもうだめ、支えきれない。そう思って絶望したり、自分だけ元気なことがしんどかったりしました。私が消えてみんなを陰から支えられないか、とも思いました。でも、ヘルパーや福祉を頼り、助かった。兄は昨年亡くなった。父も3年前に亡くなりました。私も結婚して自分や子供、夫を優先できるようになり、気持ちが楽になりました。兄は兄。父は父。母は母。私は私。それぞれの人生を楽しまないといけないと思います。
2人目の子どもを持つかどうか「自分が経験してきたからこそ悩む」
私の弟も知的障害を伴う自閉症です。今は結婚して子どもがいますが、もう1人子どもを持つことに躊躇しています。もし弟と同じような障害だったら?子供の頃の私と同じ思いをするの?と、悩みます。一人っ子で障害のあるお子さんを育てるのも苦労があると思います。でも、自分が経験してきたからこそ「もし上の子がきょうだい児になってしまったら?」と考える方が不安です。遺伝についてはいろいろ言われていますが、私の従兄弟も上は健常・下が軽い知的障害を持つきょうだい児です。きょうだい児だからこそ、「2人目」について悩みを抱えてしまいます。
万が一に備えて「親心のノート」を活用
障害を持つ子の親です。次男に何かあった時、長男に選択を委ねるのは苦しい。経済的負担を掛けるのも苦しい。でも、万が一のことは常に考えなきゃいけないと思います。障害を持つ子どものことを書く「親心の記録」というノートがあります。自分が先立ってしまったときのために残します。緊急時の対応をどうするか記入する欄があります。親の介護もだけど、きょうだい児は、親がいなければどうしても呼ばれたりすることがある。それだけでも負担なのだから、出来ることは親として、しておきたいと思っています。