良寛さんに手を合わせてお願いしたこと。神戸おかやま会バス旅行で倉敷市玉島の円通寺へ~鉄爺わが故郷#2

沼田 伸彦 沼田 伸彦

 梅雨入りを避けての6月初旬(5日)の日程設定だったが、平年より1週間以上も早い5月29日に近畿地方は梅雨入りした。コロナ禍を抜けて4年ぶりの挙行となった神戸おかやま会、年に一度の恒例行事「ふるさと紀行」(日帰りバス旅行)は直前まで雨天の場合の対応をどうするか、やきもきしながら当日の朝を迎えたが、案ずるより産むが易し。梅雨入り以来、最高の好天の下、岡山を目指すことになった。

 私にとっては初参加のふるさと紀行になる。参加の諸先輩に聞くと、かつては大型の観光バスの補助席をフルに使うほどの参加者でにぎわったのだという。60人以上が参加していたということになる。今回も再開を期して春先から会員のみなさんにダイレクトメールを送り、希望者を募った結果23人が集まった。当初予約していた大型バスを中型に変更し、午前8時にJR神戸駅近くの湊川神社に前に全員が集まった。60歳以下はお世話係もお願いしてある男性ふたり。残るは60歳というよりは70歳以上の方がほとんどという顔ぶれだ。

 今回の行き先については、昨年秋には幹事会で視察に出かけ、第一候補を断念するなど試行錯誤の末にようやく固まった経緯がある。選んだのはかつて備中松山藩の藩港として栄えた倉敷市玉島。かつては玉島市だったが、1967年に現在の倉敷市と合併した。新幹線の新倉敷駅から程近いエリアになる。

 私の小学校時代、夏の海水浴といえば玉島が定番だった。高速道路などない時代、山間部の実家から車で2時間以上かけて出かけていたことを覚えている。考えてみればその時代以来、およそ60年ぶりの玉島訪問になる。久しぶりといえば貸し切りの観光バスに乗るのも一体何十年ぶりか。

 バスガイドさんはなし…というのがいまは普通らしい。シートベルトを締め、備え付けの冷蔵庫から冷えたビールが配られ…いちいちが浦島太郎状態だった。

 玉島ではまず町を見下ろす高台にある円通寺という大きなお寺を訪ねた。開創は1200年前だという。あの良寛さんが青年時代、修業したという寺だそうで、庭にはその銅像とともに「うらを見せ おもてを見せて ちるもみぢ」という辞世の句が刻まれた句碑も建てられていた。

バスに戻って山を下り、古い町並みが保存されている地区をぶらり。再びバスに戻って岡山市にある宮下酒造へ向かった。酒蔵に併設されたレストランで昼食を摂り、次は岡山の町中にある池田動物園へ。最後は土産物店に立ち寄って、予定の午後6時半ちょうどに出発点の湊川神社に帰着した。

ふるさと紀行の再開と時を同じくして、春秋2回の開催が定番だったゴルフ会も活動を始めた。夏にはボウリング大会も予定、10月には年に一度の総会が開かれる。

バス旅行の1週間後には、岡山県大阪事務所の声掛けで、近畿エリアの各地区に点在する岡山県人会、県下の大学、高校の同窓会の世話役が初めて一堂に会し、組織の運営に関しての課題など情報と意見を交換した。登録されている組織は37に上るが、9団体は休会、ないしは音信不通。その日出席したのは13組織だった。

バス旅行も然り。集まれば皆で思い出を語りながら楽しい時間を過ごせることはわかっているのだが、いざとなると人が集まらない。

人口減、高齢化、さらに拍車をかけているのが個人情報保護の流れで、会員名簿を作るのに四苦八苦しているのが現実だという。小さくてもよいから突破口はないものか。バスの中を一日満たした穏やかなにぎわいを広げていく知恵はないものか。

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