「この透かしブロック使いはキレイだけどやっちゃいけないヤーツ…」
この透かしブロック使いとは、コンクリートブロックと「みやま」という穴の空いた透かしブロックを交互に市松模様に積んだ塀のこと。やっちゃいけない理由がわかりますか?
コンクリートブロックを積み上げる場合、強度を出すために、決まった間隔で鉄筋を通すことが建築基準法で決まっています。ところが、この「みやま」という透かしブロックには鉄筋を通す場所がありません。ということは…このブロック塀には鉄筋がはいっていないということに!
「倒れますね|д゚)チラッ」
「地震の時確定倒れる奴や 大体熊本地震の時これ多く使ってる塀がかなり倒れてた」
「何度同じ悲劇を繰り返せば分かるのか…」
「側を通らない様にしないと」
このようなコメントがあるように、かなり危険な塀だということです。
最近、地震が多いし、これはもう恐怖写真では…。もちろん安全を保ちながら、透かしブロックを効果的に使っている塀もありますが、危ない塀ってどのくらい存在しているのでしょうか。ツイートした一級建築士・一級建築施工管理技士の「☆★モチコ★☆(@mochicco69)」さんにお話を聞きました。
──写真のブロック塀を見つけたときは、どう思われましたか?
元々透かしブロックが好きなので、街歩きするときはキョロキョロチェックするんですが、この塀を見たときは、「この透かしブロック使いは貴重!しかし建築基準法的には最もダメなヤツ!」と思いました。
──過去の痛ましい事故から、背の高いブロック塀は減ってきているように感じますが、透かしブロックは意識していませんでした。こういった危険なブロック塀は、今でも相当数存在しているのでしょうか?
危ない透かしブロックは非常によくあります。
コンクリートブロック塀の鉄筋の配筋基準は縦横とも80センチ以下の間隔なので、透かしブロックが縦もしくは横に2個以上連続する、市松になる場合は基本的にアウトです。また、塀の最上部、最下部に透かしブロックがあるのもアウトです。
──危険な透かしブロック積みはよくあるのですか! 見ても気がついていないということですね…。どうして危険なブロック塀が存在してしまうのですか?
ブロック塀の基準が厳しくなる以前につくられたものか、それ以降でつくられたとすると、美観優先でお施主様に要望されたものを知識不足の施工業者がつくってしまったのか、設計者が知識不足で提案したか、でしょうか。
──プロの方には、是非ともおかしな使い方はとめていただきたいですね。透かしブロック以外に危ないと思われるのは、どんなブロック塀ですか?
高すぎるブロック塀は気をつけてください(基準では2.2メートル以下)。あとすでに傾き出している塀もよくあります。外からはよく見えないので判断が難しいですが、ブロック塀には長さ3.4メートルごとに控え壁の設置が必要、という基準もあります。
(※ 控え壁:塀が倒れないように、塀に対して直角になるようにつける壁のこと)
──もし、自分の敷地にブロック塀があったら、どうしたら良いですか?
古いブロック塀などは撤去したりやり替えたりするのに補助金が出る自治体も多くあります。ご自宅にブロック塀がある場合は一度専門家に見てもらうなどして現在の基準に合っているのかご確認ください。もし不適格な場合は補助金等を上手く利用して撤去、アルミフェンスなどへのやり替えをご検討ください。
また、透かしブロックは基準にのっとって使えばとても美しい建材です。凝ったデザインの透かしブロックは今ではなかなか製造されていないので、壊す際に再利用したり上手く補強したりできるといいですが…なかなか難しいかもです。
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透かしブロックは、装飾性のほかに、通気性を高めるために利用されます(強風時に、ブロック塀が面で風を受けないように使われることもあります)。透かしブロックには、上下左右に溝があり、鉄筋を通すことができるタイプ(花ブロック)もあります。
国土交通省は、「ブロック塀等の安全対策について」でチェックポイントをわかりやすく図解で示しています。身近にブロック塀がある人は、ぜひ確認を。
■国土交通省 ブロック塀等の安全対策について https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/blockbei.html