丹波篠山よさこいまつりは県内外からの28チームで4年ぶりのにぎわいを~鉄爺、里山へ行く#11

沼田 伸彦 沼田 伸彦

 人生初の田植え体験から2週間余り、また丹波篠山市を訪ねる機会があった。

 「篠山よさこいまつり」が4年ぶりに通常の形で開催されることになり、小学4年生になる孫娘が母親とふたりで所属する姫路市のよさこいチ-ム「八琴栾(はちきんらん)」も出場するという知らせを受け、何はさておき駆けつけることにした。

 孫娘のデビューの舞台となった昨年8月の「小野まつり」(兵庫県小野市)の時は、都合がつかなかったため地元の知人に依頼してステージの写真を撮影して送ってもらった。以後、あちこちの祭りなどで場数を重ねていることも聞いており、都合のついた身内6人で神戸から出かけた。

 里山プロジェクト「ミチのムコウ」の様々なイベントで足しげく通うようになる前から、この町には心の底のどこかに強い親近感がある。自分が生まれ育った岡山県北房町(現在は真庭市)の里山の風景にどこか通じるものがあるせいだと思う。城下町(篠山)と宿場町という成り立ちの違いとか、町の規模そのものとか、表立った部分で共通点があるわけではない。ただ、田んぼや畑のそばに立って眺める山々の景色を眺めているだけでそこはかとなく心が癒されるのだ。

 よさこいまつりの主な会場は、篠山城跡の三の丸広場がメーンで、市役所横の駐車場がサブ。メーン会場には大きなステージがしつらえられ、県内外から参加する28チームに割り当てられたテント、食べ物を販売する屋台、キッチンカーなどがにぎやかに並び、朝から大勢の観客が詰めかけていた。

 その中にワイシャツにネクタイ姿の見覚えのある男性がひとり立っていた。服装だけでも目立っている。丹波篠山市長の酒井隆明さんだった。市役所は目と鼻の先。にぎわいの様子が気になってのぞきに来たという風情だ。サンテレビ社長を務めていた2021年秋、表敬で訪問することがあり、その時は1時間ばかり話をさせていただいた。

 覚えてもらっているかどうか。こちらから近づき「市長、おはようございます。お久しぶりです。サンテレビ沼田です」と頭を下げた。

 一瞬ビックリして目を丸くされたが、さすがは町の広告塔。「あー、わざわざ来てくださったんですね。ありがとうございます。カメラも入ってますか?」と尋ねられた。どうやらサンテレビがカメラ付きでまつりの取材に訪れたという期待含みの反応のようだ。

 「いやいや、きょうはプライベートです。孫がステージに上がるものですから。ご期待に沿えず申し訳ありません」と顔の前で手を振って答え、お互い笑い合った。

 孫娘のチームのリーダーの女性と話をする機会があった。女性ばかり総勢10人のこぢんまりしたチームなので、母娘2人での参加はとてもありがたいんです、という。メンバーは最年少が孫娘の9歳で、上は70歳あたり。それぞれの都合があって練習でも全員が揃うことはなかなか難しいそうだ。

 各チームがメーンのステージとサブの会場でパフォーマンスを披露する。よさこい発祥の高知からのチーム、ステージからあふれんばかりの大所帯のチーム、巨大なのぼり旗など大仕掛けのチーム…そんな中にあって「八琴栾」は女性らしい滑らかな所作のパフォーマンス、それなりの存在感を披露した。驚いたのは最後に最年少の孫娘が中央に進み出て「ありがとうございました」と大きな声を張り上げて深々とお辞儀、全員がそれに続いたことだ。物おじしない堂々の素振りにただただ驚かされるのみ。8月の小野まつりが楽しみになってきた。

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