致死率100%「狂犬病」の予防注射は飼い主の義務! 脳神経内科医や整形外科医も接種率低下に警告

はやかわ リュウ はやかわ リュウ

密輸動物や避難民のペット、海外船から侵入するコウモリやネズミ

狂犬病が発生していない国・地域を『狂犬病清浄国』と言います。日本は現在、『狂犬病清浄国』です。しかし、密輸動物やウクライナからの避難民の飼い犬の検疫問題、海外船から侵入するネズミやコウモリなど、常に我々は『狂犬病』の脅威に晒されています。

「仮に海外から感染した哺乳類が紛れ込んでしまっても、接種率が高ければ、次々と国内の哺乳類に伝播していく事態を防げます。しかし、一度国内で蔓延してしまえば、国内から狂犬病ウイルスを排除して今のような清浄国、つまり、動物に噛まれても狂犬病の心配をする必要がない地域に戻すことは極めて困難です。

清浄国以外では、ワクチン接種が定かではない動物に噛まれるなどの怪我をした場合、直ちに暴露後接種と言って、複数回の接種で発症を防ぐ対策が必要になってしまいます。当然、対応が遅れたり運が悪ければ死が待っていることになります。2020年には、海外で狂犬病に感染して日本国内で亡くなった人がいます。接種率がこのまま低下すれば、国内の感染例が出てしまい、取り返しのつかないことになってしまいます」(ばりすた 脳神経内科医さん)

もちろん、ばりすた 脳神経内科医さんの愛犬も、毎年必ず「狂犬病予防注射」を接種しているそうです。

「完全に陰謀論に傾倒してしまった人に言葉を届けるのはなかなか難しいですが、何となく不安、何となく疑問という方なら、引き止めることはできると思っています。愛犬と皆さん自身の命を守るために、狂犬病のワクチンは必ず接種して下さい」(ばりすた 脳神経内科医さん)

安全性が高い日本の「狂犬病予防注射」

現在、『狂犬病清浄国』は世界190カ国以上の中、日本、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアム、アイスランドの7地域のみ。台湾やイギリス、ノルウェーも長らく清浄国でしたが、現在は「非清浄国」となっています。

ネット上には「別によくね?打つか打たないかは自由でしょ」といった身勝手な意見も見受けられましたが、「狂犬病予防注射」の接種は法律で定められた「義務」です。獣医師によると、病気や体質などで接種が難しいと獣医師が診断した場合には『猶予証』が発行され、一定期間の接種猶予が持たれるそうです。自己判断で接種しないのは義務違反です。不安や疑問がある場合は、必ずかかりつけ医への相談が必要です。

接種を納得できないなら「犬を飼わない」で!

「狂犬病」はワクチン接種で予防可能な感染症です。ただし、発症してしまった場合の治療法はなく、ほぼ100%死に至ります。犬や猫が感染した場合、治療はせず、安楽死処置となります。

もし日本が「狂犬病」の汚染国になってしまったら……未接種の犬は、ドッグホテルやドッグラン、トリミングサロンはもちろん、動物病院の受診や災害時の避難も断られるかもしれません。年に1回の「狂犬病予防注射」の接種は任意ではなく、法律で定められた義務です。どうしても接種に納得できない方は、「犬を飼わない」という選択肢を選ぶべきかもしれません。

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