投資と貯金は、どちらも個人の資産形成において重要ですが、効率的に資産を増やすには、両方のバランスが重要です。しかし、投資と貯金の割合をどう決めてよいか分からない方も少なくないはず。年代によって生活環境が変わることも難しくしている一因ではないでしょうか? 投資と貯金の割合の決め方を20代から60代まで、年代別に解説します。
投資と貯金の割合を決める基本的な考え方
年代に合わせた投資と貯金の割合を考える場合、まず考慮すべきなのが、各年代の置かれた状況を考えることです。
例えば、20代はまだ将来の収入やキャリアなどの見通しが立ちにくい時期ですし、30代は将来のキャリアプランを考えるべき時期、40代以降は、家計の支出と老後の資金のバランスが求められる時期です。
このように、投資と貯金の割合は、自らが置かれているライフステージや、これから発生するであろうライフイベントを考えて配分を決定することが大切です。このとき、保有資産の額や安定性からリスクの許容度を考え、適切な投資先の選択やリスク管理が重要なことも忘れてはいけません。
20代の貯金と投資の割合|貯金をしつつ積極的な自己投資を
20代は、まだ将来の収入やキャリアについて見通しを持ちにくい時期です。そのため、必要に応じて使える、貯金に重点を置くのが一般的です。
残りの可処分所得は、株や投資信託といった投資よりも、自らを成長させる自己投資に使うことを優先しましょう。この時期における能力やスキルの向上は、将来的な収入アップの基盤につながり、30代以降のキャリアプランの幅を広げてくれます。
■20代から投資を始めるのはナンセンス?
20代は自己投資に力を入れることが重要ですが、余剰資金が確保できるのであれば、投資を始めても差し支えありません。投資は長期間取り組むことで原資が増えて大きな効果を発揮するため、若いうちから投資を始めるのは大きなアドバンテージになります。
ただし、予算に無理のある投資は避けましょう。無理に予算を捻出しても、生活に余裕がなければ、結局取り崩すことになりかねません。自分自身のリスク許容度に合わせた適切な投資先を選ぶことや、リスク管理をしっかり行うことが必要です。
30代の貯金と投資の割合|将来設計を見越した投資を
30代における貯金と投資の割合は、世帯ごとによって状況が大きく異なるため、一概に言うことはできません。ただ、この年代から継続的に投資を行うと、将来の余裕が変わってくるため、積極的な投資への取り組みは重要です。具体的には、入院や退職といった大きな出費に備えた貯金をしつつ、余剰資金を投資に回すといったところです。
30代になると、社会的なポジションや収入が安定し、将来のキャリアプランが明確化してくる方も多いでしょう。また、結婚や育児、住宅の購入など、ライフイベントの変化が激しいのもこの時期の特徴です。
生活に多くのお金が必要になる時期ではありますが、同時にこの時期は、学費や老後資金といった将来的なイベントのために必要な方法を検討すべき時期でもあります。そのためにも、家計の見直しや節約を行い、余剰資金を把握した上で、積極的な投資に取り組みましょう。
■投資は何から始めるべき?
30代から投資を始める場合、まずは自分自身の目的やリスク許容度を明確にすることが大切です。また、投資先についても、投資信託や株式、不動産などの種類や特性を把握することが必要です。
投資の方法で悩んだ場合は、比較的リスクが低い初心者向けの投資信託から始めるのが無難です。投資の知識が少ない場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)のようなお金の専門家に相談しながら検討するのも一つの手です。
40代の貯金と投資の割合|割合の見直しで老後に備えよう
40代になったら、予算に無理がないか、貯金と投資のバランス見直しを行いましょう。この年代は生活費や子どもの教育費など、家計の支出が増えやすい時期であり、特に子どもがいる場合、子どもの学費に多くの費用がかかります。
しかし、40代は自らの老後の備えを充実させたい年代でもあります。この、現在必要な出費と将来への備えを両立させるために、貯金と投資のバランス見直しが必要なのです。
バランスの見直しは、自分たちだけで行わず、ライフプランニングを専門とするFPを交えて行うことをおすすめします。この年代にライフプランニングを再構築しておくことで、老後準備の具体的な道筋を得ることができます。
■40代から投資を始める場合は何をすべき?
40代から投資を始める場合、まずは自分たちのライフプランの再確認を行いましょう。これからの人生にどのような資金が必要かを理解し、その上で最適な投資方法を選んでいきます。
必要となる資金の例としては、老後資金や子どもの教育費、住宅購入資金などがあります。このように、継続的に発生する資金を考慮しつつ、投資方法を選定します。また、ある程度の資金が貯まっているのであれば、投資先を複数用意して、リスク分散にも取り組むとよいでしょう。
50代の貯金と投資の割合|貯金を中心とした資産管理を
50代になると、退職も目前となり、老後資金の備えが重要になります。この時期は病気や入院のリスクも高くなってくるため、投資に力を入れるよりも貯金に力を入れることが一般的です。そのためにも、40代までに投資の基礎を構築することが望ましいです。
しかし、50代でも完全に投資をやめるのが正解というわけではありません。少額の積立投資や国内の大手企業株や債券、不動産投資信託などリスクを抑えた投資を継続すれば、着実に老後資金を増やすことができます。
■50代からの投資は遅い?
50代から投資を始めても、資産を増やすことは可能です。ただし、運用期間が短いため、リターンが低くなることは覚悟しておきましょう。
また、40代までに老後資金の基礎ができていない場合は、50代の間に多くの老後資金を用意する必要があります。50代は年収が多くなる時期ではありますが、貯金と投資の両方に回せる予算を用意するとなると大きな負担を強いられるでしょう。
50代からの投資は、老後資金の一部を投資に回すリスクを考慮した上で始める必要があります。そのためにも無理のないバランスで行うことが大切です。
60代の貯金と投資の割合|貯金を中心に安定した資産管理を
60代になると、労働による収入が無くなる場合が多く、老後資金の備えがますます重要になります。そのため、利益を狙った投資よりも、積極的な貯金を中心とした安定した資産運用が重要です。
安定に重点を置いた投資先としては、国債や地方債といった債券や、配当が安定している株式ファンド、バランス型ファンドなどが挙げられます。
■60代に投資をする意義は?
60代で投資をする主な目的は将来の不安軽減です。60代は、現役世代と比べて収入が減少する一方で、生活費や医療費が増えるなど、経済的な不安が高まる時期であるため、継続的な収入は大きな支えになってくれます。
ただし、60代から投資を始める場合、減少した収入のなかから支出するため、リスクが大きくなります。そのためにも、現役世代のうちに投資の基礎を構築しておくことが大切です。60代から投資を始める場合は、それまで以上に、アセットアロケーションやリスク管理の精度が重要となってきます。
ライフプランを見越した資産管理を
投資と貯金の割合は、年代ごとの課題やライフイベントを考慮して決定するものです。
20代は、自己投資に力を入れつつ、貯金もしっかり。30代は、将来に備えて投資に力を入れつつ、必要な貯金を。40代は、家計の支出に合わせたバランスの見直しを。50代は、将来に備えた貯蓄に重点を置きつつ、継続した投資を。そして60代は、確実な貯蓄を心がけつつ、投資リスクを抑えた投資先を選ぶのが望ましいです。
全体を通して言えるのは、適切な投資と貯蓄のバランスを取りながら、将来に備えた資産形成を行うことが重要ということです。
リスク管理をしっかりと行い、投資に失敗した場合に備えた予備資金を用意しながら、堅実な投資に取り組みましょう。
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