えっ、寄付金断ったのに…なぜうちにお囃子隊がやってくるの?「これはお金払うしかないじゃない!」 戸惑った引越し先の“お祭りルール”

わたなべ こうめ わたなべ こうめ

新型コロナの感染症法上の位置づけが2023年5月8日から5類に変更されました。それに伴い規制緩和も進み、お祭りなどのイベントを再開した地域も多いでしょう。しかし行事が再開すると寄付金を求められる場合も。コロナ禍に引っ越しをした人の中には、これまでの寄付金活動のことを知らずに戸惑ってしまうこともあるようです。

引っ越し先で突然お祭りの寄付金を求められ…

K子さん(愛知県在住、30代、専業主婦)は、1年前に今の土地に引っ越ししてきました。この地域は山車祭りが有名ですが、K子さんは引っ越ししてからはじめてお祭りの存在を知りました。コロナ禍でこの3年間は中止でしたが、今年は山車祭りを開催することになりました。

祭り開催日の1カ月ほど前、K子さん宅に法被を着た青年が訪ねてきました。話を聞くと、青年はお祭りのために集金しているとのこと。引っ越しして事情を良く知らないことをK子さんが伝えると、青年は集金について「寄付金というかたちをとっているので、支払いは任意です」と丁寧に説明してくれました。

K子さん夫婦はお祭りに参加する予定がないので、寄付金を断りました。

お祭り当日、家でくつろいでいるとお囃子登場!

お祭り当日、K子さんが夫(30代、会社員)と家でくつろいでいると、また法被を着た若者が家を訪問してきました。今度は、複数の青年たちがお祭りのお囃子を奏でています。突然のことに、呆気に取られるK子さんと夫。キョトンとしている2人を見て、青年の1人が習わしを教えてくれました。このお祭りでは、五穀豊穣や家内安全などを祈って、お囃子を奏でながら各家庭を回っていると言うのです。

なお、ここでもお金(寄付金)が必要になるとのこと。先日集金があったときには断っているので、お祭りのことはもう関係がないと思っていました。どうして再び青年たちがやってきたのか分からず、不信感もつのります。

しかし、わざわざ家にお囃子を奏でに来てくれたというのに、邪険に扱うわけにもいきません。寄付金は任意だとあらためて言われましたが、「これはお金を払うしかないのでは」と、K子さんは思いました。寄付金の相場がわからないので青年に聞くと「寄付なので決まりはありません」との答えです。K子さんは夫と相談し、とりあえず1000円を渡しました。

後日近所の人に事情を聞くと…

お囃子を見送るついでに外に出るK子さん夫婦。想像以上にお祭りが盛り上がっていて、どれくらいの人が寄付金を出しているのか気になってしまいます。

お祭りについてK子さんは近所の人に聞いてみました。3年ぶりのお祭りを、地域の人たちはとても楽しみにしていていたようです。運営は街の人たちから集めた寄付金でまかなわれていて、子どもたちも参加できるとのこと。最初は勝手にやってきて集金しようとするお祭りのことを怪訝に思っていたK子さん夫婦ですが、話を聞いているうちに印象が変わり、「いつか私たちの子どももこのお祭に参加することがあるのだろうか」と、思いをはせました。

しかし今回は事前情報がなかったため、突然やってきた集金に戸惑ってしまったK子さん。寄付金を断った家に、お囃子隊が回ってくることにも動揺してしまいました。この地域は新しい住宅地も増えているので、K子さんと同じように驚いた人は少なくないはずです。「地域のお祭なら、もうすこし事前に詳しく連絡してくれればいいのに」とK子さんは思うのでした。

祭りなどの寄付金を求められたらどうするべき?

その土地に長く住んでいる人にとっては当たり前のことでも、新しく引っ越ししてきた人は事情を知らないので戸惑ってしまいますよね。今回はお祭りでしたが、地域によってさまざまな種類の寄付金があるようです。「寄付金」という名目ならば支払いは任意ですが、地域の中には支払うのが当然の雰囲気で断りにくい場合もあるようです。

   ◇   ◇

▼奈良県・40代・女性
夫の実家がある地域に家を建てて住み始めました。地区のお祭りの寄付については、義母から教えてもらえたので、すんなり受け入れました。なにより「地域の人」として堂々とお祭りに参加できます。

▼三重県・30代・女性
払わないと村八分にされるんじゃないかと思って払っているが、正直、参加しないし子どももいないし、払いたくはない。あと普段ほとんど現金を持っていないので突然来られると困る。

▼佐賀県・60代・男性
当番になると、近所を寄付金集めで回ることも。若い世代の家にいく時は緊張します。仕事に出ていて居ないことも多いし、普段の交流も少ない。祭りの話も寄付もぴんときていない様子で、なんだか申し訳なくなってしまう。

   ◇   ◇

地域によって事情が違うので正しい答えがないもの。周りの雰囲気や行事によって、相手の方が嫌な思いをしないような上手な付き合い方ができるといいですね。

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