知らない人や車が怖い 甘え下手な保護犬 「あなたと仲良くなりたい」お散歩ボランティアが新しい飼い主さんになった

松田 義人 松田 義人

保護犬の中には、それまでに受けた心の傷や人間馴れしていないことから極度のビビリ体質のワンコも少なくありません。2019年に愛護センターから保護犬団体、ピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)に保護された、推定生後6ヶ月のワンコ、ムクロもまた、そんな極度のビビリ体質のワンコでした。

凛々しいルックスに反して極度のビビリ体質

保護した当初のムクロは、新しい場所に来た緊張かたか、なかなかスタッフと打ち解けることができませんでした。凛々しいルックスでもあったことから、当初スタッフは、「クールで落ち着いた男の子なのかな?」と感じたそうです。

しかし、実際は極度のビビリ体質で、近寄ろうとすれば目線を逸らして固まります。なかなか打ち解けてくれないムクロでしたが、スタッフが慌てずに少しずつ慎重に距離を縮めていった結果、「この人なら大丈夫」と思ってくれたのか、ある日から打ち解けてくれました。

以来、尻尾を振って遊びに誘ってきたり、おもちゃで遊びたがったりと、ムクロ本来の甘えん坊で明るい性格が表に出てくるようになりました。

「ムクロ」のペースを最優先にしてくれる里親希望者さんとの出会い

ムクロは、約2年間の人馴れトレーニングを経て、2021年にピースワンコの譲渡施設、福山譲渡センターへ移動することになりました。同時にSNSで里親さん募集を告知したところ、「一目惚れした」と会いに来てくれた里親希望者さんがいました。

初めて里親希望者さんが訪れた際、ムクロはやっぱり緊張して固まってしまいました。同時にスタッフは、実際にムクロが散歩する様子も見てもらいました。

知らない人、車などすれ違うものに、怖がりながら散歩をするムクロでしたが、その様子を見た里親希望者さんは「怖がりでも大丈夫です!」とムクロを受け入れる意思を示してくれました。

里親希望者さんの事情で、ムクロをすぐに迎え入れられることはできなかったものの、「少しずつでもムクロと仲良くなりたい」という思いから、お散歩ボランティアに登録され、週に一度ずつ譲渡センターへ足を運び、ムクロとのコミュニケーションを取ってくれました。

ムクロは怖がりなので、週に一度のペースでも里親さんに馴れるまでには時間がかかりました。しかし里親希望者さんは、「スタッフさんにしているように、いつか自分にも甘えた姿を見せてほしい」と言って、ムクロのペースに寄り添ってくれました。

甘えさせてくれる里親さんの元で幸せを掴んだ!

里親希望者さんとのお散歩を繰り返すうちに、ムクロは少し尻尾が上がるようになりました。表情が柔らかくなり、リラックスした笑顔も見せてくれるようになりました。

里親希望者さんがお散歩ボランティアとして、ムクロと接し初めてから約5カ月が経過した2022年夏、受け入れ環境が整った里親さんのもとで、ムクロは新しい犬生の一歩を踏み出すことになりました。

ムクロがピースワンコを卒業から半年が経った頃、里親さんはこんなふうに語ってくれました。

「とにかくムクロがかわいくて仕方ありません。『保護犬を迎えたら、人間がしっかり主導権を握らなければ』と思っていましたが、散歩はムクロに合わせてどんどん時間が伸びていますし、ご飯やおやつの予算も右肩上がりになっています」

思いっきり甘えさせてくれる里親さんに出会えたムクロ。まだまだビビリ体質は治らないようですが、幸せな犬生をおくれるようになったことを、スタッフはおおいに喜びました。

ピースワンコ・ジャパン
https://peace-wanko.jp/

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