渋谷区の街なかのトイレの女性専用から共用への変更、東急歌舞伎町タワーの男女が使用できるジェンダーフリートイレなど、公共の場のトイレ事情に批判の声が高まる中、ある投稿が称賛の声とともに拡散されました。
「谷町線 谷町四丁目駅のトイレが素晴らしかった件を聞いてほしい。 写真撮影している私の左側が改札。左後方に駅員室があり、女性トイレの入口は駅員さんからよく見える。 男性トイレは右側2m先。入口が完全に離れている。どちらにも多目的トイレがある いいぞ、いいぞー。」
投稿主の松永弥生さん(一般社団法人 痴漢抑止活動センター代表理事 @scbaction)、そのトイレがあるOsaka Metro(以降、大阪メトロで表記)に取材しました。
常に監視の目がある女性用トイレの入り口
松永さんが「素晴らしい!」と褒め讃えたトイレは、大阪メトロ谷町線「谷町四丁目」駅(通称:谷四)改札内のトイレ。「女性用トイレの入り口が駅員さんが常駐する駅員室から見える位置にあり、男性用トイレの入り口とは離れているので安心感があります」とその理由を話します。
このトイレを見た瞬間、「ここには女性用トイレしかないの?」と思ったそうですが、女性用トイレ入り口で “男性用トイレは右側2m先にあります”と自動音声で案内が。男性が間違えて入ること、また意図して入ろうとする男性をためらわせることにも配慮を感じます。また、入り口付近に防犯カメラがあるのも安心です。「トイレは性犯罪をはじめとする犯罪が発生しやすい場所ですが、日本の公共施設のトイレは残念ながらそこに対する意識が低いんです。でも、谷四のトイレは、場所が犯罪を誘発するという犯罪機会論を踏まえた設計になっていると思いました」。
写真付きで投稿すると、約3万件のいいねとともに拡散。「男子トイレと女子トイレの場所を分けるってめちゃくちゃ良い」「この大阪メトロのトイレを基準に全国のトイレが見習って欲しい」「スタンダードがこんな感じで、必要だと言うなら、ジェンダーレストイレを新しく増やしてくれればいいのにな」などの声が寄せられました。
「コメントにもありましたが、みなさん、女性用トイレを失くすのではなく、こういう配慮の行き届いたトイレが男女ともに増えて欲しいと願っているんですよね」と松永さん。今回の投稿が「トイレの安全性を考えるきっかけになったらうれしいですし、公共空間のトイレの設計や管理、運営に携わる人の目に止まって欲しい。今後のトイレ設計の際に思い出してくれたら」と言います。
「こういう風に工夫した対策をしている施設を皆で褒める、声を出すといいね。悪い事やクレームは大声で言うけどいいフィードバックはあまりしない。いい事こそ大きな声で届けてあげるともっといい社会になると思う」「褒めるって大事。他の会社も真似したくなる」とのコメントもありましたが、松永さんもこれに同意。「大阪メトロの各駅のトイレはきれいになっていますが、ツイートによって、このステキな取り組みが注目されて、褒めてもらえて、一介の利用者として、とてもうれしかったです」。
利用者から好評、いつでもキレイで明るいトイレ
谷四のトイレ設計について、大阪メトロにも聞いてみました。「谷町四丁目駅の男性用・女性用トイレが離れた場所にあるのは、以前から変わりません」とのこと。しかし、「大阪メトロでは、近年、皆様が快適に安心してご利用いただけることをめざし、駅構内のトイレのリニューアルを進めております。トイレ内の清掃を行き届かせるとともに、男性用・女性用マークを大きく目立ちやすくしたことなどで印象が変わった、入りやすくなったというお声をいただいております」と、評判も上々とのことです。
大阪メトロでは駅トイレリニューアルに伴い、男性用・女性用ともに多機能トイレやベビーチェアを設置するトイレも登場。駅トイレのリニューアル情報もサイトで発信しています。こんなトイレ空間が全国各地で当たり前の光景になれば良いですね。
■一般社団法人 痴漢抑止活動センター代表理事 @scbaction
■大阪メトロサイト https://www.osakametro.co.jp
■大阪メトロ駅トイレリニューアル情報 https://subway.osakametro.co.jp/guide/toilet_renewal/20130107_ekitoiret-koji.php