茨城県下妻市にある小貝川ふれあい公園に、まるで巨大な蝶が翅(はね)を休めているような外観の建造物がある。地上から見ても、大きな複眼、触覚、渦巻き状の口吻(こうふん)がよく再現されていてインパクト抜群だ。
何故このような外観につくられたのか、同センター管理事務所に聞いた。
国道とバイパスからよく目立つ
茨城県下妻市を流れる小貝川の西側にある小貝川ふれあい公園の中に、色鮮やかな蝶の形をした建造物がある。これは「小貝川ふれあい公園ネイチャーセンター」という施設で、1994年11月21日に完成し、同25日にオープンした。
小貝川に沿って整備されている「小貝川ふれあい公園」にある樹林に日本の国蝶であるオオムラサキが生息していることから、オオムラサキを模した形に設計されたそうだ。
「国道125号線や常総バイパスから目立つ位置にあることから、人を惹きつける建築物にしようと決められました」
たしかに、一度見たら忘れられない、インパクト抜群の外観だ。
オオムラサキは日本の国蝶で、オスが翅を広げた大きさは約9cmある。またオスの翅には中央に青紫色の美しい光沢があり、小貝川ふれあい公園ネイチャーセンターの屋根はこれをよく再現している。ちなみにメスはオスより大きく、翅に青紫色の光沢がない。
「オオムラサキや小貝川に生息する魚などの展示から自然と生命を学ぶネイチャーミュージアムで、1階が展示室、2階が研修室になっています。また、中央にはファーブルの塔と名付けられた展望台が設けられています」
ここには、日本各地のオオムラサキの標本が展示されているほか、近くを流れる小貝川に生息する魚を集めたミニミニ水族館や、ギャラリーのマジックビジョンでは、水のない空間をめずらしい魚たちが泳ぎまわっている姿が投影されているという。
訪れる人たちの反響はどうだろう。
「建物自体がオオムラサキのオスを模した形状になっており、蝶の胸部にあたる階段を昇ると公園全景が一望できるため、楽しんでいただいております」
特殊な形状ゆえのメンテナンスの難しさ
かなり変わった形の建物ゆえ、メンテナンスが難しそうだ。
「天井がかなり高いので、メンテナンスの難しい箇所があります。たとえば、ギャラリーなど展示スペースの照明は足場を組まないと手が届きませんし、ロビーの高所まで続くガラス面の清掃も高所作業車が入れないため難しいです」
難しいとはいえ工夫と努力の賜物で、建物はきれいに保たれている。
2022年度の入館者は5万7201人を数えた。今後はどのように活用されるのだろう。
「小貝川ふれあい公園としては、花畑とオオムラサキの舞う森、自然あふれる公園づくりをめざします。また自然観察ゾーン、ポピー畑のフラワーゾーン、サッカー場やソフトボール場などがあるスポーツゾーンが整備されており、地域活性化の中核を担う施設としての機能も併せもつ施設として活用していきたいと考えております」
ここを訪れて初めて「国蝶というものがあるんだな」と知る人が多いかもしれない。オオムラサキの観察小屋も設けられていて、6月中旬~7月中旬頃には成虫が飛び回る姿を見られるそうだ。
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▽小貝川ふれあい公園ネイチャーセンター
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