通販サイトで「¥」で示された商品を買ったところ、それは日本円(JPY)ではなく、約20倍(4月20時点のレートは1元=19.55円)の価格となる中国人民元(CNY)で決済されていたー。国民生活センターは、類似の相談が複数寄せられていることを明らかにするとともに、問題の販売業者のサイトを公表しました。通貨記号の「¥」はなじみ深い円記号ですが、人民元にも使われており、ネット通販の際は注意が必要です。
国民生活センターが問題視しているのは、欧文の文字を書道のように書く技法、カリグラフィーの電子版ガイドブックなどを販売する「Calli-Calli」という通販サイト。同センターがサイト内の表示を確認したところ、申し込みが完了するまでの画面では、¥表示が中国人民元であるとの表記は見られなかったといいます。サイトは日本語で作られているため、日本円と誤認する可能性があると指摘しています。
「¥1,680」と表示された商品
2023年1月、画像共有SNS上の広告を見た40代女性が「Calli-Calli」にアクセスして、「¥1,680」と表示された商品を選んでクレジット決済で申し込みました。申し込み後、サイトから届いた受注確認メールは「¥1,680」でしたが、クレジットカード会社からの決済通知メールで「¥32,916」とあったことから事態に気がつきました。慌ててサイトのサポートページを確認したところ、「通貨は中国人民元です」と記載されていました。
この通販サイトでは、申し込み完了するまでの画面で、「注文概要・クーポン入力」をタップすると、「合計 CNY ¥1,680.00」と表示されますが、タップして表示することなく申し込みを終えることができる仕組みでした。また、サポートの画面には「通貨は何ですか?」の問いに「中国人民元円です」の回答がありますが、消費者が申し込みを完了するまでに必ずサポート画面を確認するような対応はとっていませんでした。
販売業者の名称、住所、電話番号は見当たらず、示されているのはメールアドレスのみ。センターが事実関係について問い合わせメールをしましたが、返信はありませんでした。相談事例の中には、販売業者に契約の取り消しを意思表示した消費者もいましたが、返信はなく代金も返金されていません。
センターは、消費者へのアドバイスとして、¥表示が日本円なのか、中国人民元なのか、通販サイトを隅々まで確認することを推奨。もし気付かずに商品を購入してしまった場合は、カード会社に相談するか、最寄りの消費生活センターなどへ連絡するよう勧めています。