Made in Japanの信頼の高さから、かつて各国で勝手に日本製をうたう商法が存在したが、この2020年にもなお「偽日本商法」は生きていたようだ。中国である雑貨ブランドが「中国製の鍋を日本製と偽って販売していた」という疑惑を向けられている。
それも「日本製」のシールを貼ったなんてものではない。広告に鋳造師「4代目 伊藤慧太」なる人物をかつぎだし、やけに凝ったブランドストーリーを展開。さらにその「伊藤慧太」も偽物で正体は中国人俳優だったという。
中国の偽日本ブランドが偽の日本製鍋を販売
偽物の日本製鍋を販売していると指摘を受けたのは、中国で展開している雑貨ブランド「壹加生活 EKA LIFE」だ。IKEAを意識していそうな名称だが公式いわく「日本発の老舗有名ブランド」、2018年日本で最も愛されたブランドNo.2に輝いたそうだ。……私達が知っている2018年じゃない……。
さて壹加生活の公式サイトと鍋の販売サイト(共にすでに削除)の情報を総合すると:
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「壹加生活の鉄鍋の歴史はさかのぼること1892年(明治25年)。北海道標津町で初代伊藤穂高氏が鉄鍋作りを開始、鍋は日本を初めとする各国の賞を総なめにし、後に北海道根津町は日本の金属製キッチン用品の一大産地へと成長。日本市場のシェア80%を占めるようになった」
「伊藤家の2代目3代目も大活躍してはやり各地の賞を総なめ。そして2001年に株式会社藤井伊の藤井伊氏により「壹加生活 EKA LIFE」ブランドが設立され、4代目伊藤慧太による鍋をリリース、2018年から中国での販売を開始した……」
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…以上である。とにかく盛り盛りの設定。全くどこの世界線の日本の話か不明だが、これが問題の鍋につけられたブランドストーリーなのだ。
広告では作務衣のような服を着た「伊藤氏」が微笑み、「一生に一つだけのことをする」という文法は間違っていないが妙な感じのするキャッチコピーが書かれている。そして「伊藤氏」の話す日本語はたどたどしく、企業の歴史も含めて違和感しかないだろう。
「中国の人、気づいて……」と思ってしまうが、ネイティブもしくは日本語や日本の歴史に精通していない人でないと難しいだろう。偽日本鍋は発売から発覚までの2年で、実に5万個以上売れているという。