熊本地震から7年…「益城町も大丈夫」神戸からプリンを買いにきた女性ライダー 「もう一度会いたい」今でも心の支えに

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熊本・大分の両県で計276人が犠牲となった熊本地震は、最初の前震から7年となった。地震では熊本県益城町で2016年4月14日夜の前震、同16日未明の本震で観測史上初めて震度7を2回記録した。同町で創業100年以上の歴史を持つ岡本商店も被災、店舗は地震で全壊した。店主の矢野好治さんは2020年に再オープンにこぎつけるまで仮設店舗で商売を続けたが、その間、忘れられない人との出会いがあった。それは再建途中に兵庫県神戸市からバイクに乗ってプリンを買いにきてくれた1人の女性。もう一度会ってお礼を伝えたいという。

矢野さん一家は妻と長女の3人暮らし。14日の前震が発生した際は営業終了後に益城町の隣にある東区の自宅で休んでいたときに地震が起きた。翌朝、益城町にある店に行くと店内は散乱していたが片付ければなんとかなりそうだった。ところがその2日後の16日に発生した本震で翌朝店に戻った瞬間「あ、終わったな」と思った。床は地割れし、玄関のシャッターは「くの字」に折れ曲がり店の中には入れないほど倒壊していた。

それでも矢野さんは家族の生活を守るために商売をあきらめなかった。復興過程で益城町にできた仮設店舗から再建を開始、まちのシンボルとして「益城プリン」を新たに店の名物商品として売り出すことにした。地震から2年が過ぎた2018年、県道沿いの以前あった店に、わざわざ神戸からバイクに乗って買いに来たという。20代に見えるその女性ライダーはプリンを手にした後「神戸も震災から20年以上が過ぎて今は震災前みたいに元どおりの綺麗な街になりました。だから益城町も大丈夫です。安心して下さい」と言い残し去って行ったという。

矢野さんは女性の姿を見送りながらあふれる涙がしばらく止まらなかった。先が見えなく、不安で押し潰されそうだった時に同じように地震に遭った街からきた女性の言葉には「物凄く説得力があり、勇気をもらった、今でも心の支えになっています」と話した。

現在は店舗も再建し「これからが本当のスタート」だと言う。「だからこそ出来れば神戸のあの女性にもう一度会いたい。あの時の御礼と感謝の言葉を伝えたい」。当時あった店の場所は変わり、益城町には人もまだ完全に戻っていない。矢野さんは女性と再び会えることを胸に益城プリンを売り続けている。

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