例えば、ベランダからの眺めが気に入りマンションを購入したのに向かい側に高層マンションが建つことに。せっかくの眺めが台無しになってしまう。建物からの眺望を巡って争われた裁判例があります。
一般財団法人不動産適正取引推進機構のサイトでは、損害賠償請求が認められた事例(東京地裁平成18年12月8日)が確認できます。眺望をめぐる訴訟の中でも、日常生活での眺望ではなく、1年に1回の行事である隅田川花火大会の観望が争われた珍しいケースでした。
隅田川花火大会が見えるマンションの部屋を購入した原告が、同じ業者がすぐ近くに別のマンションを建設したことで花火が見えなくなったとして損害賠償を求めた裁判で、裁判所は、請求額を減額しながらも原告の訴えを認め慰謝料60万円を言い渡しました。隅田川花火大会を取引先の接待に使うために購入したという原告の事情を知っていたにもかかわらず、業者がマンションを建設して眺望を阻害したことが、信義則上の義務に違反すると認められました。