お客様ファーストか映画館運営か… 映画館で万引き発覚→スタッフが直面するジレンマとは

宮本 裕也 宮本 裕也

映画館で販売されている物販の数々。公開に合わせて制作され、鑑賞後も映画を楽しめるよう工夫されたパンフレットを集めている人もいるのではないだろうか。人気作品ともなると公開から数日で完売、増刷されることも少なくない。

そんなパンフレットが盗まれることがあるという。そう、映画館で。

「人気のない作品のパンフレットがなくなることが多い」

そう語るのは、2022年から神戸の「kino cinéma 神戸国際(キノシネマ)」で支配人を務める矢野修平さんだ。

「動員が多い人気作品のパンフレットが盗られることは、あまりないですね。盗る人も出来心なんでしょうか。キノシネマでは監視カメラで確認するなど、スタッフも気をつけてはいるのですが、万引きはなかなかなくならないですね」

商品が盗まれたことに気づくと監視カメラを確認するが、今のところ警察などに被害届を出すことはしていないという。矢野さんはその難しい心境を語る。

「映画館の収入源が減るのは運営的に痛い。でも犯人探しは、普段来てくださるお客さんを疑うことになる。疑心暗鬼のまま、接客はしたくないんですよ」

パンフの万引きをなくすには

では映画館での万引きをなくすにはどうすれば良いのか。

キノでは監視カメラ設置の他に、商品のパンフにカバーを付けて「サンプル品」として常に読むことができるようにしているという。以前まではパンフは希望者のみにサンプル品を手渡ししていたそう。しかし矢野支配人の意向で現在の形に変更。「お客様によっては『読んでから』購入する人も多いため」だそうだ。「映画を見て、読んでから購入する方の気持ちは分かります。パンフを置くことは、絶対にお客様のためになる」と口調も熱を帯びる。

映画を届ける配給会社などからは、「見本を置いてほしい」といった指示はなく、事前にサンプル品を送ってくれるかどうかはまちまちだという。見本を一切出さないなど、映画館の対応にもばらつきがある。シリーズものなどの大ヒット作品は、見本を出さずとも売り切れることもあるそうだ。

最後に矢野さんはこう結んだ。

「万引きの件を考えるとネガティブになり、最終的に設置をやめることになる。お客様ファーストを考えて、信じるしかない」

NO MORE 映画パンフ万引き!

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