「お腹も気持ちも満たされて」海運会社社長の愛が詰まった、焼肉店の長〜いレシート 締めて24万8410円!「一瞬クラっと…」

金井 かおる 金井 かおる

 神戸にある海運会社「東幸海運株式会社」(本社、神戸市東灘区)がSNSで公開した長ーーーーーいレシートが注目を浴びています。

 ある焼肉店のレシートを撮影した動画。1行目の塩タンから始まり、ロース、うす切りロース、上ハラミ、ホルモン、野菜盛り合わせ、生ビール、ウーロン茶と続きますが、進めども進めども終わりが見えません。やっと端までたどり着くと、合計金額24万8410円。動画を見たユーザーからは「こんなレシート初めて見た」「これはすごい」「豪快で気持ちいい」「私も参加したい」など驚きの声が上がりました。

業界では恒例「人気の焼肉店は取り合いになることも」

 実はこれ、3月に行われた同社懇親会でのレシートなのです。石油タンカーや外航貨物船を有する同社では、平均で3カ月乗船で1カ月休暇という流れ。今回の懇親会は長い航海を終えた乗組員の慰労のために開催され、社長を含めた総勢17人が参加しました。「何回折れば財布に入るのかと思わず笑いそうになりました」という同社社長の笹木重雄さんに話を聞きました。

──懇親会は恒例行事ですか。

「当社には6隻のタンカーがありますが、各船が年に一度のメンテナンスを行うために1週間程度、ドックと呼ばれる修理工場に入ります。この間、船員さんはペンキ塗りやエンジンの整備を行います。期間中に一度、お客様との合同ミーティングや、乗組員への安全教育を行います。その会議のあとに夕食会として焼肉屋さんで懇親会を行っています」

──毎回、同じ焼肉店を利用?

「30年以上にわたってほぼ同じ焼肉屋さんで開催しています。メンテナンスを行っているドックさんから歩いて行ける、広島県尾道市の向島にある焼肉屋さんです。当社のタンカー船に乗る船員さんはお肉が好きな人が多いです。しかし、タンカーは火気厳禁なので火を使った焼き肉はご法度なんです。昨年までの2年間は新型コロナのための中断期間があり、お寿司やお弁当の出前で代替したこともありました」

──海運業界ではよくある習慣ですか。

「当社以外でも焼肉屋さんでの懇親会を行われている会社さんは多くあります。メンテナンスが重なる春と秋のシーズンには人気の焼肉屋さんは取り合いになることもあります。ここ10年では一度だけ予約が取れずに他の焼肉屋さんを利用したことがありました」

 普段は現金払いをする笹木社長ですが、この日は久しぶりの開催ということで盛会になり、持ち合わせが足りずクレジットカード払いに。「コロナ前を超えました。財布の中身以上のお値段に一瞬クラっとなりました」。SNSでは経費で落ちるのか心配する声もありましたが、「乗組員さん全員参加なので船舶の福利厚生費となります。年一度であり乗船者の全員参加の機会があるため税理士さんにも認めていただいています」。

 長い海上生活を終えた船員さんたち。無事に下船し、おいしそうに焼き肉を頬張る顔を見て、笹木社長は何を思う?

 「限られた機会ではありますが、年に1度の機会ですので、自分の食べたいお肉や食べ物を自由に選んで、お腹も気持ちも満たされて欲しいと思っています」(笹木社長)

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 船上での仕事や生活の様子はYouTubeチャンネル「東幸海運タンカーの日常」で見ることができます。

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