「キューピー」「キユーピー」…正しいのはどっち? “間違いやすい社名”の由来、マヨネーズで知られる食品メーカーに聞いてみた

会社名のフシギ

平藤 清刀 平藤 清刀

キユーピーちゃんのトレードマークで知られているキユーピー株式会社。正しい社名表記は「キユーピー」だが「キューピー」と誤った表記をよく見かける。なぜ「キューピー」ではなく「キユーピー」なのか、キユーピー株式会社の広報・グループコミュニケーション室に尋ねてみた。

文字は見た目のバランスも大事

キユーピーは、マヨネーズをはじめ、ドレッシング、パスタソース、ベビーフード、介護食など、幅広い商品を展開している。一般消費者には「マヨネーズのメーカー」のイメージが強いだろう。

会社名の表記は「キユーピー」か「キューピー」か? 「キューピー」と書かれることが少なくないが、正しい表記は「キユーピー」である。

大手メディアから発信される記事では「キユーピー」と正しく表記されているけれど、個人のブログやSEO記事専門のWEBサイトなどでは、「キューピー」と誤った表記をよく見かける。

さて、本題である。

正しい社名表記は「キユーピー」と、「ユ」を大きく書く。この理由はデザイン上のバランスを考慮したそうだ。

広報担当者によると「キユーピーの『ユ』の字は、バランスよくデザイン上、大文字です」とのこと。これが最大且つ唯一の理由のようだ。

では、正しい発音はというと「きゆうぴー」ではなく「きゅーぴー(QP)」でよいとのこと。

初めて国産のマヨネーズを製造

キユーピーといえばマヨネーズのイメージが強いが、1919年に食品工業株式会社として創業した当初は、ソース類や缶詰などを製造していた。

取締役の1人、中島董一郎(なかしまとういちろう)が農商務省(当時)の海外実業練習生としてイギリスとアメリカに約3年間滞在していたとき、アメリカで初めてマヨネーズに出会った。ときは大正時代、関東大震災から復興する過程で、女性の服装に洋風化が進んだ。日本人の生活様式も急激に変わる中、中島は「食卓にも変化が訪れる」と感じ、当時の日本ではまだほとんど知られていなかったマヨネーズの自社製造に向けて動き出す。

そして1925(大正14)年、卵黄タイプで栄養価の高いマヨネーズに「キユーピー」のブランド名をつけて発売した。日本初の国産マヨネーズだったという。

当時の容器は現在のようなボトルではなく、ガラス瓶に金属製の蓋がついたものだった。ラベルにはキユーピーが描かれ、英語で「KEWPIE BRAND」と表記されていた。「キユーピーちゃんは大正時代すでに人気があり洋風のイメージと合うこと、そしてキユーピーちゃんのように愛される存在に育って欲しいと願ってのことです」

当時は珍しかった? ブランド名を社名に変更

1941年には出荷量が500トンに達していたが、この年に始まった太平洋戦争の影響で原料が手に入らなくなったため、1943年に製造を中止。戦後もしばらくの間は原料の調達が困難で、製造を再開したのは終戦から3年後の1948年だった。

もっとも戦後すぐに時期でも、その気になれば原料の調達は可能だったという。だが、入手先が闇市となるため、中島が「自身の信念に反する」として拒み続けたのである。また製造を再開してからも、良い原料が入らなければ製造を中止したという。

そんな状況で戦後を乗り切って、1957年に社名変更に踏み切った。ブランド名の「キユーピー」を新たな社名とした。

「当時はブランドを社名にした会社は珍しかったと聞いています」

我々に馴染みの深いボトルタイプのマヨネーズが登場するのは、社名変更の翌年、1958年である。

2022年3月、卵の代替食品「HOBOTAMA」が登場した。スクランブルエッグ風は豆乳加工品をベースに、大部分を植物由来の原材料でつくられもの。液卵風はアーモンドパウダーがベースになっている。

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▽キユーピー株式会社
https://www.kewpie.co.jp/

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