被災地で活躍する「災害救助犬」の誇らしげな姿に絶賛の声 「手伝ってる!」「嬉しそう!生き生きしてる」

はやかわ かな はやかわ かな

救助犬を「感動ポルノ」にはしたくない

ーー災害救助犬は「救助対象者」の生死を臭いで判別し、それぞれ違った方法でアラートするそうですね。ご遺体の場合、救助隊員の方の反応や態度を通して、犬たちがショックを受けることは…?

「生存者は吠えてアラート、ご遺体の場合は伏せてアラート、もしくはお座りで知らせる子もいます。訓練の際は、疑似遺体臭を使います。訓練時は発見するとたくさん褒めてもらい、遊んでもらったり、おやつをもらったりしますが、実働の現場ではそれが出来ませんので、その後のフォローはハンドラーの重要な仕事だと思っています」

ーートルコの震災では、大怪我をしたり、命を落とした救助犬の報道もありました。

「救助犬が捜索中に瓦礫が崩れる事故で命を落としたこと、心からご冥福をお祈りします。トルコは他にも二次災害があったようで、非常に危険な現場だったと思います。民間だから言えることかもしれませんが、救助の現場では、犬が作業を楽しんでいることと、犬の安全確保が大前提だと、私は考えています。被災現場ではハンドラーは常に誰よりも犬の側にいて、愛する相棒の安全を第一に考えて行動しています。

こんなことを言うと叱られてしまうかもしれませんが、時に『命がけでありがとう』『人間のために犠牲になってありがとう』という善意のお声をいただきますが、私はそれではいけないと思っています。救助犬を感動ポルノにはしたくないです。コアが毎日楽しんでコツコツ練習していることが誰かのお役に立てたら嬉しいな、という思いで日々訓練をしています」

◇ ◇

優秀で頼もしい災害救助犬のコアくんだが、普段は家庭犬として、Rookieさんの元でパワフルな甘えん坊として暮らしている。ハンドラーであり飼い主でもあるRookieさんによると、コアくんはもともと、家庭犬としてはエネルギッシュ過ぎるところがあり、「ちょっと大変な子」だったそうだ。

「友人の救助犬訓練にお手伝いに行った時に捜索させてもらったところ、水を得た魚のように生き生きとしていて、『やらせてあげたい』と思いました。今でもコアの捜索能力には驚かされます。だから時々、救助犬がかわいそうとか、替えの利く装備や機械のように扱われている、といった言葉を見ると残念に思います。私もコアとの共同作業がとても楽しいですし、犬も一緒に捜索することを楽しんでいます。そうじゃなければ良い捜索は出来ないと思います」(Rookieさん)

犬が作業に従事することについて、批判的な意見を持つ人も少なくない。だが、コアくんのように素晴らしい能力を持つ犬も、家庭犬としてはその高い知力や運動能力が「問題行動」とみなされることもある。

飼い主が愛犬の特性や可能性に気づき、愛犬たちが楽しんでそれを活かせる場を作ることが出来れば、コアくんとRookieさんのように、犬も人間も幸せになれる道が開ける。尊い命を救う「災害救助犬」としての任務は、犬にとってその個性と能力を存分に発揮出来る場であり、強い信頼と絆で結ばれたハンドラーとのかけがえのない時間でもあるのだ。

■災害救助犬として活躍するコアくんのHP「White Search & Rescue」

■コアくんのYouTubeチャンネル「White Search & Rescue」

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