病院で塗り薬を処方された時、お目にかかることの多い「青いフタの容器」。
「これはお願いになるのですが、外来で…ずっと前に出してもらったことのある青いフタの容器に入った塗り薬が欲しい!と言ってくるのは勘弁して下さい。前出してもらったからそれで分かるはずだ!と怒られても、これは塗り薬を入れる共通の容器だから、こちらからしたらノーヒントなんです(笑)」とツイッターでつぶやいた小児心臓外科医・小渡亮介さん(@RyosukeKowatari)。どこか昭和レトロなムード漂う青い容器の写真が添えられた投稿に注目が集まりました。
「お疲れさまです。皮膚科医、このやりとり毎日です」
「日常茶飯事ですね!」
「ラベルがなければまずわかりません」
「そして大体混合だったりします」
「混合物は時間の変化と共に質感も変わるので、まず無理」
「混合軟膏だと、お薬手帳を追いかけるしかない」
「レスタミンなら臭い、オイラックスなら見た目、ワセリンまたはプロペトもなんとか判断可能」
「瓶に入ったアレとかチューブに入ったアレとかは勘弁して欲しい」
「昔もらった白い粒の薬くださいっていうのも難関です」
医療関係者と思われる共感リプの多さに、推して知るべしな診察あるあるが発覚しました。
田舎の外科盛り上げ隊長を目指しているという投稿者、小児心臓外科医の小渡亮介さんに、今回の反響についてお話を聞きました。
ノーヒントお薬クイズ、解く手がかりは…
ーー専門は小児心臓外科医といえど、さまざまな症状の患者さんを診ておられるんですね。今回の「クイズ青い蓋」の出題者は親子連れの方でしょうか?
「外来(を担当する時)は大人も診ているので、今回は、定期的に飲み薬とかをもらっている高齢の方でした。症状は踵が痒いなど、よくあるような症状でした」
ーーリプライを見ると、医療関係あるあるなのかな?と。
「僕は皮膚科じゃないので『青い蓋の』と言われることは滅多にありません。いても月に1人くらいだと思います」
ーー「皮膚科医、このやりとり毎日です」とのコメントもありましたね。
「確かに皮膚科だと処方される軟膏の種類も多く、そうなりがちだと思います。紙カルテの病院だと結構ツライ。僕ごときには難しい世界ですが、皮膚科の先生方にとっては日常と知り、ちょい恥ずかしめです」
ーーとんでもない! 自分が患者だと、つい言ってしまいそうで…。薬の名前も覚えづらいので、こういう時にお薬手帳、やはり大事ですね。
「今回の患者さんは『数年ぶり』と時期も曖昧だったうえ、(今の勤め先が)紙カルテの病院なのでお手上げでした。定期的に処方してる薬ならまだわかりますが。お薬手帳の確認をしたところ『前出してもらったから分かるはずだ!』とお叱りを受けました。手帳も処方日もないと難解です」
ーーリプの中では「青い蓋」から派生して、「白い粉薬」バージョンのクイズも登場していましたが。
「せめて日付だけでもわかれば…(笑)。内服薬の色とか特徴もハイレベルですが、塗り薬の容器だと、もうほんと苦しいです…」
ーーそして今回の患者さんには、どんな「答え」を出されたのでしょう?
なぜか「前診てくれた先生ならきっと出してくれた」と言われたので、チューブタイプの薬を処方し直したら満足して帰られました。チューブにしたのは、特徴が一応追えますので…。ちなみにピンクのチューブの「ヒルドイド軟膏」を処方しました。
結局「青い蓋の容器」の中身はわからなかったものの、適切な処方で無事に一件落着したとのこと。さらにツイッター上では、小渡さんのお願いに同調して、「これならですね」というコメントと共に青い蓋の容器にラベルを貼った画像が寄せられたり、「蓋に処方した薬の名前を書くと思うのですが、油性ペン+セロハンテープは(使ううちに剥げるので)やめて頂きたい」など、医療関係者と思われる方々からの投稿が相次いでいます。
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これからの医療者の成長をサポートすべく、学会などを通じてふんわり活動をしているという小渡さん。医師を目指す若者と、その方に診てもらう患者さんを想い、自信の経験や反省を元にした著書「10年目で0.8人前の外科医になる道:とある地方医の表の顔と裏の顔(Cブックス)」を上梓。Amazon、楽天市場にて発売中です。
https://twitter.com/RyosukeKowatari/status/1518919781130596353
小児心臓外科医ならではの投稿に加え、鬼滅とドラクエとガンダムSEED好き。そして本当の専門は劇団四季というだけあって、やわらか情報も満載。
■小渡亮介さんTwitter→https://twitter.com/RyosukeKowatari