風俗嬢を体当たり熱演した唐田えりか 舞台あいさつで見せた涙から生まれた決意 「劇場に足を運んでくれる方が一人でもいる限り」

石井 隼人 石井 隼人

約3年ぶりの長編映画出演だ。唐田えりか(25)が、奥野瑛太主演の映画『死体の人』(3月17日公開)で風俗嬢・加奈を体当たり熱演した。お腹に宿った新しい命のために、自らの手で人生を切り拓いていく役どころ。再出発のために前進する加奈と、俳優業をリスタートさせた唐田の状況ははからずもリンクする。心機一転で2023年を迎えた唐田の心境とは?

復帰舞台挨拶で見せた涙の意味

昨年11月末に公開された中編映画『の方へ、流れる』では、久しぶりの舞台挨拶で観客を前に涙を見せた。「覚悟を持ってあの場に立つ、という気持ちでいましたが、観客の皆さんからの温かさを肌で感じたときに感謝の気持ちが溢れてしまって。あの場で涙を流すべきではなかったと反省しています」と言うも、その涙は唐田の中にあった弱気を流してくれた。「劇場に足を運んでくれる方が一人でもいる限り、私は頑張るべきだと心に誓うことができました」。不退転の決意が新たに生まれた。

そして早くも見せる新境地。『死体の人』では、恋人の売れないバンドマンのために風俗嬢として生活を支える加奈役。自分を犠牲にして生きる薄幸な女性像から一転、お腹の子のために生きる決意を固めた強い女性像を絶妙な変化を持って演じ切った。

「加奈の中で止まった時計が動き出す。そんなところに自分とのリンクを感じました。その感覚を最後まで大切にして、加奈が成長して進化していく姿を作品の中で表すことが出来ればと。風俗嬢という設定に気負うことなく、一つの作品に向き合うといういつも通りの心構えで撮影に臨みました」。

銭湯で感じる自分の弱さ

性格的な部分でもリンクを感じたという。「加奈の頑固なところや芯の強いところは自分に近い気がします。こうと決めたら曲げない、という性格も似ている」と共感を寄せながら「私は昔から負けず嫌いで、特に自分に負けたくないという気持ちがあります。お仕事がなかった期間を経て“苦手だと思うことにこそ挑戦するべきだ”という気持ちも生まれました。それはきっと成長をしたいからで、人間として魅力的になれば役者としても魅力的に映るはずだと思うからです。常に自分に“足りないものはなんだろうか?”と問いかけています」と自己分析する。

ちなみに唐田は最近、自分に負けそうになったことがあるという。それは銭湯。「“サウナと水風呂を5往復するまで出ないぞ!”と自分で決めたら、それを達成するまで銭湯から出ない。でもたまに心が折れてギブアップすることも(笑)」と真面目な話から、20代前半らしい無邪気なエピソードを口にする。

とことん落ち込む理由

本作のキャッチコピーは「生きることが下手です。死んだふりは上手です。」。“生きづらい”というネガティブな言葉がSNSなどで呟かれがちな昨今。唐田自身“生きづらい”と感じるときもあるというが「そんなときはとことん落ち込んで、自分の視野が狭まって周りが見えていないことを自覚します。それが出来たら、次は“私は生かされているんだ”と周囲に対する感謝を思い出す。テレビドラマや映画などエンターテインメントの世界に触れるのもいい。私も何度も心を救われてきました」と打ち明ける。

韓国ドラマが好き。中でも連続ドラマ『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』(2018年)は落ち込んだときに何度も観返す。唐田にとってビタミン剤のような作品らしい。「ふとした短いセリフでも落ち込んだ自分の心にスッと入って来るような優しいセリフが沢山あります。このドラマには何度も心を救われて、何度も観返しています」とお気に入り。

韓国語はかれこれ5年程勉強中。「独学で簡単なヒアリング程度ならばできますが、まだまだ難しい。自分に負けそうになることもあるけれど、頑張って勉強中です」と韓国語上達を2023年の目標に掲げている。

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